AKB48, それは伝統である | Kura-Kura Pagong

Kura-Kura Pagong

"kura-kura"はインドネシア語で亀のことを言います。
"pagong"はタガログ語(フィルピンの公用語)で、やはり亀のことを言います。

AKB48の関連ユニットHKT48のメンバーが唄っている歌『アインシュタインよりディアナ・アグロン』が話題となっている。これらのグループの歌は恋やおしゃれにしか関心のない女の子を主人公にしたものばかりだが、この歌もそれと一緒である。そして、そのような世界観をそのまま言葉にした歌詞がここでは問題となっている。
この歌にこんなくだりがある。

世の中のジョーシキ 何も知らなくても
メイク上手ならいい
ニュースなんか興味ないし

1986年にもこれとおなじような歌が発表された。おニャン子クラブの内部ユニット・にゃんぎらすの唄った『私は里歌ちゃん』だ。作詞者は『アインシュタイン~』と同じ秋元康である。

テレビの堅いニュース・キャスター
暗い事件を伝えるけれど
遠い国のことなど
まるで関係ないわ
専門外のことよ

この時代、企業への就職をめぐる男女差別が当たり前だった。それに異議を唱える声がある一方で、男女同権を求める女から眼をそむける男もいた。
「俺より頭の良い女とは付きあいたくない。」
当時私はいわゆる「いい高校」に通っていたが、男の同級生になかにはそんなことをいう者がいた。
 あれから30年、何も知らない少女「里歌ちゃん」は、いまでは何も知らないおばさんになっているかもしれない。一方、今ではさまざまな職種に女性が進出し、女性科学者も珍しくなくなった。専業主婦や、仕事子育てを引退した高齢者も自分の意見を口にする。国会前はもちろん、いろいろな場所でいろいろな立場の女性が平和と自由を叫ぶ。だが、それを認めたくない男も少なくない。そして、女の子は、女は自分より愚かであってほしい、そう夢見る少年、夢見るおじさんのためAKB48のようなアイドルグループはある。
「女の子にサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか。」
この発言と似たようなことは洋の東西を問わず古くから言われてきた。「古さ」は「伝統」と言い換えれば格好がつく。


AKB48、それは伝統である。