ソビエト連邦・核産業の闇
死の第4号炉
爆発時の熱で炉心の底部、四分の一が溶解。
二酸化ケイ素、黒鉛、鋼鉄、ウラン、核分裂生成物などの混合物が流れ出し溶岩のように固まった。
物質はその色や形から象の足と呼ばれ、表面の放射線量は毎時8000レントゲンに達する。
それは傍に立つと僅か数分で命を失う量である。
【1989年の夏】
傍に近寄ることができない為、オリンピック級の射撃手にライフル銃で同じ場所を数回狙撃させ
飛び散った破片を遠隔操作のマジックハンドで集めることにより象の足からサンプルを採取することに成功。
その結果、破片から自然界では決して生成されることのない物質が見つかった。
核燃料のウラン・燃料棒被覆材のジルコニウム・コンクリートに含まれているケイ素の化合物である。
組成や結晶の状態から、事故の瞬間炉内の最高温度は2000℃に達したことが判明。
化合物は緑がかった透明な物質で、ラムネの瓶に使われるガラスに似ている。
研究者たちにより、この化合物は「チェルノブイリの宝石」と名付けられた。
現在も、大量のチェルノブイリの宝石が石棺の内部に眠っている。
事故後、発電所の残骸や放射性核燃料を覆うようにして石棺(サルコファガス)が建設され、
半径30km圏内は立ち入り禁止区域に指定されている。
この事故によりソビエト連邦(現ウクライナ)の約50%が汚染され、20万人以上の住民が避難を余儀なくされた。
死者は後に癌などで死亡した人数を含めると12万5000人に上り、
被害者の移住に伴う慰謝料や地域のクリーンアップなどにかかった費用は総額2000億ドルに及ぶ。