クラゲのお散歩日和


念願の、柿喰う客2011年新春公演「愉快犯」を観に東京芸術劇場小ホール2へ行ってきました。この劇団は以前から気になっていて、今回の作品はフライヤーも華やかだし、テノヒラサイズに客演していた村上誠基さんも素敵だったのでチケットを取りました。2011年の観劇始めにぴったりの作品ではないかなと思いました。公演はまだ続いていますが、ネタバレありで書いているので、これから観劇予定の方は読まないで下さいね。

源平争乱の時代より、ハッピー&ラッキーな歴史を歩んできたノリノリ一族「琴吹(ことぶき)家」!
幸せボケしちゃってる彼らのもとに、どーゆーわけか突如「最悪の不幸」が襲いかかり始める!!
愛娘の事故死!祖母の病!母の不倫!!―え?ってか、娘は事故じゃなくて他殺なの!?
どうするどうなる琴吹家!なんとかしやがれ三世帯!ご先祖様も草葉の陰でテンパってるよ!!
結成5周年を迎えた「柿喰う客」が、謹んで新年のお慶びを申し上げながらお送りするのは
ドメスティックなハピネスを求める愉快×痛快×おめでた喜悲劇!!
(フライヤーより)

クラゲのお散歩日和


コメディみたいだけど内容がどうなのかな?と思いましたが、とにかく一度観てみたいというのとフライヤーに載っている役者さんたちの華やかな着物姿に惹かれて予約しました。内容が合わなかったとしても、村上さんを観られるのが楽しみでしたしね。予約したのは遅かったのですが、なんと2列目センターという素晴らしい席での観劇となりました。
席にも驚きましたが、もっと驚いたのが舞台です。新春らしくカラフルな色合いでしたが、舞台が円錐形に盛り上がっているのです。作・演出の中屋敷さんによると、これは扇を広げた形をイメージしたそうです。さらに客席をはずして大きく取ってあるので、座席番号はI列だったのに、入ってみたら2列目だったという。こんな舞台でどう芝居をするのかと思いました。

今回は劇団員のみの公演ということで、父親・琴吹慶二郎に玉置玲央さん、母親・千幸(ちゆき)に七味まゆ味さん、祖母・フク/娘・鶴子に深谷由梨香さん、息子・亀太郎に村上誠基さん、刑事・和澤井沙凪(わざわいさなぎ)にコロさんという配役でした。


クラゲのお散歩日和

恵まれた環境で育ってきたせいで、極端にメンタルが弱い琴吹家の人間は、ささいな出来事でも極度のストレスを感じ、場合によっては死んでしまう。そんな彼らに次々おこる家庭の危機をめぐる復讐と愛とホラーな物語でした。
新春公演だからなのか、古典的な台詞まわしと独特な動きと掛け合いに初めは驚きましたが、5人の役者さんたちそれぞれが素敵で、すぐにその世界観にハマりました。坂になった舞台を使った芝居や、いろいろな小ネタが含まれた台詞に笑いながら観ることができました。


クラゲのお散歩日和

死んだ鶴子をめぐる父の犯人探しは新たな殺人を呼びそうな展開だし、ボケが始まっていたフクは鶴子の幽霊に乗っ取られてしまう、母はセンター試験を控えた息子の心配をよそに深夜に外出し男性の匂いをつけて帰ってくる…普通に考えたらダークな内容なのに、それがとても明るく面白くテンポよく描かれています。

ところが、コメディと思って観ていると、ふっ…と空気が変化して、時折サスペンスな場面になるのですよね。楽しく語られていたことが実は意外な場面で(いや、むしろ正しく?)使われていたことが分かったり、冗談かと思っていたら真実だったり。話より役者さんを観て楽しむ作品というレビューをいくつか読みましたが、私は最後の最後まで仕掛けのある脚本も楽しみました。中屋敷さんの脚本・演出を体現する5人の役者さんたちが不思議な世界を作っていました。


クラゲのお散歩日和

カーテンコールの後は、恒例らしいアフタートークがありました。私が観た8日マチネは中屋敷さんと玉置さんのトークと、客席からの質問に回答するというものでした。劇団結成5周年とのことでしたが、柿喰う客がどういう劇団なのか、そしてどんな活動をしてきて、今後はどうするのかということが分かって有意義な時間でした。今回は劇団員だけでの芝居でしたが、大人数での舞台もやっているそうなので、人数が増えることでどう変わるのかが気になりますね。


クラゲのお散歩日和

すっかり柿喰う客にハマってしまったので、物販でパンフレットを買おうと思ったのですが、お得なので福袋を購入してしまいました。福袋というものを初めて買いました。帰宅してさっそく開けてみたのですが、素敵なグッズが入っていました。パンフレットに載っていた過去公演のタイトルと、それに合わせた劇団キャラクターの「柿生めこ」のデザインを観ていたら、この劇団に対しての謎がふくらみました。毎月公演、地方公演、海外公演などもやっているそうですし、次の東京公演が楽しみです。