前回、二重の制作の様子について述べました。
今回は三重から六重までの制作の様子について記します。
上の重も二重と全く同じ作業の繰り返しです。
以下、写真を中心にして説明します。
まずは三重からです。
三重の縁・壁・軒天井・支輪・垂木ができたところです。
軒反りについては、支輪までは直線として、地垂木、飛檐垂木と重なるにつれて徐々に反りをつけています。
組物を作っている最中の写真です。
カッターナイフで斗を突き刺してピンセット代わりにしています。
木工用ボンドで貼り付けています。
写真のように上下逆さに置いて、上部の斗や肘木から積み重ねています。
斗と肘木が組み終わった後に尾垂木を取り付けています。
組物ができたところです。
組物を作るだけでおよそ8時間くらいかかります。
瓦を葺いて高欄を作ったところです。
化粧の野地板の上に、野小屋の分だけの厚紙、野地板兼裏甲、平瓦の画用紙などを重ね、丸瓦の画用紙を貼り付けています。上重の廻縁を作った後に棟を作ります。鬼瓦も16個作ります。
三重ができました。
断面図にするとこのようになります。
数字は使用した紙の厚さか部材の断面寸法です。
単位はすべてミリメートルです。
四重です。
四重の壁・軒天井・支輪・垂木まで作った様子です。
裳階を合わせると5つの屋根が重なるので、下から見ると五重塔のように見えます。
組物を作ったところです。
屋根を作ったところです。
このあたりは、まだまだ先が見えず、果てしない山を登っているかのようでした。
五重です。
五重の壁・軒天井・支輪まで作ったところです。
垂木ができたところです。
今まで積み重ねてきた屋根の重なりを見ることで、気持ちの後押しをしています。
組物ができたところです。
屋根と高欄ができたところです。
これで五重ができました。
裏甲の出などを調節することで、各重の軒の線が上に向かって一直線に連なるようにしています。
六重です。
六重の垂木までできたところです。
六重から上は、三間の壁面のうち、脇の間の間斗束を省略します。
組物を作ったところです。
屋根と高欄を作ったところです。
これで六重目ができました。
六重目まで終わると、ようやく先が見えてきたという気がしました。
続きます。