脳出血で緊急入院して

即日、脳血管性認知症、半身不随になった母。

医師から詳しい説明もないまま

転院することになった。



大声の多言でうるさすぎて

個室に移る予定だったが

個室の空きが出る前に

転院すべき時期の方が早く

おとずれたわけだ。



看護師長さんからは

転院先の病院を2つ提案されたが

推しは明らかに “家に近い方” だった。

とにかく早く決めて欲しそうなオーラが

バンバン出ている。



特に異論もないので、

「その病院でお願いします。」

と意思表示をしたら

脇に挟んでいらしたクリアファイルから

次々に書類を出してサインを求められた。




決して苦情でもなく

批判もしていないけれど

悪いキャッチにでもつかまった気分だ。




ペンと書類を受け取りながら


「あの、私たち、入院直後に先生にお会いして

 少しお話をお聞きしただけで、

 何も聞いていないんですけど。

 今の病状とか、今後の…」



と続けようとしたら

看護師長さんは私の言葉を遮るように



「あ、大丈夫です。全て書類は資料と一緒に

 次の病院へ移る時にお渡ししますから

 ご安心ください。」



というのだ。

そんな事は言っていない。

資料を持たせるのは当然でしょう。

何も聞いていない事に不安を抱いている

と言っているのだ。

不安?いや、ずっと遠慮してきたけれど

もはやこれは不満?




とにかく複数の書類を手渡したかと思うと

看護師長さんは踵を返して

急いで去っていった。



記入し終えた頃

他のナースさんが書類を取りに来た。

そして転院日の説明をし始めた。