コロナ禍に入る少し前、束の間の休息で

夫と外で食事をしていたところ

ほとんどかかってきたことのない父から電話があった。

 

「お母さんが倒れたんよ、あんた、はよ来てくれんと」

来てくれないか?ではなく

「来てくれんと」。

早く来てくれないと困ります、という意思表示だ。

 

母は脳出血で緊急入院、そのまま速攻で

半身麻痺、脳血管性認知症となった。

家で1人となった父は あれよあれよという間に

意固地になり、怒りを爆発させておかしくなり

アルツハイマー型認知症と診断された。

 

母の病院へ通うこと。

身体は元気な90歳の父の

食事ほか生活全般の世話。

自分の仕事、夫の仕事の手伝い(専従者)

実家まで往復3時間。

実家から病院までさらに往復1時間20分

すべて1人でやらねばならない。

逃げられない奴隷の日々は

ある日突然始まったのだった。