数多久遠のブログ シミュレーション小説と防衛雑感 -3ページ目

THAAD導入

SM-3、PAC-3に加え、THAAD導入が検討されているようです。
新型迎撃ミサイル:導入を検討…地上配備型、迎撃3段構え 」(毎日新聞09年7月5日)

「SM3とPAC3を補完する「第3のミサイル」と位置付け」るとの事ですが、性能的には補完ではなく、対弾道ミサイル対処能力ではPAC-3の上位互換と言えるものです。
大気圏内外で迎撃が可能で、長い射程と広い防護範囲(フットプリント)を持ちます。

以前の記事に載せたPAC-3による防護範囲と比較してみます。(10倍の距離をフットプリントとして描画)


習志野、朝霞にPAC-32個FU(Fire Unit)、市ヶ谷にPAC-3リモート・ランチを配備する場合


習志野にTHAAD1個FUを配備する場合

一見して分かる通り、その差は歴然です。
更に、THAADは、より高高度から迎撃が可能なため、迎撃失敗時に再試行することも可能で、最終的な迎撃成功確率も、高いものになります。
また、特に生物・化学兵器搭載の弾道ミサイルに対処した場合、PAC-3では迎撃高度が低く、迎撃成功した場合でも地上に影響がでる可能性がありますが、THAADでは迎撃後に大気との摩擦熱でBC兵器も無害化されます。

加えて、THAADの導入が検討される理由は、単に防護範囲が広いというだけではありません。
公開している小説中にも描いていますが、弾道ミサイル攻撃能力(特に射程)を強化する北朝鮮に対して、現有のSM-3、PAC-3態勢では、それぞれに欠点があります。
SM-3ではディプレスト弾道に対して対処困難であり、PAC-3ではロフテッド弾道に対して対処困難です。
THAADは、両現有システムが対処困難なこれらの目標にも対処可能です。
記事に付いている図でも、このことが描かれています。

毎日新聞より

また、上の図でも北朝鮮による弾道ミサイル攻撃を念頭に置いた図を描いていますが、対中国という点では、PAC-3による迎撃は困難で、THAADが必須となります。

そんな良いものなら、なぜ最初からPAC-3でなくTHAADを導入しなかったのか、という意見も出てくるでしょうが、THAADは米軍でもやっとこれから本格的な配備が始まるところです。自衛隊がPAC-3の導入を決めた当時は、THAADは開発が難航しており、中止される可能性すらウワサされるほどでした。

もし十分な数のTHAADが配備されるなら、PAC-3は必ずしも不要(パトリオット自体は、対航空機や巡航ミサイル対処が可能であり、システム全体が不要になるわけではない)になります。毎日新聞は、費用がかかる事を批判していますが、JADGEとの連接など、積み上げた無形の資産は大きく、PAC-3を配備してきたことが無駄になるわけではありません。

費用の問題はもちろん有りますが、実際にTHAAD配備を検討する上で、おそらくそれ以上に問題なのは人員です。
THAADを配備するとしても、何かの後継システムとして配備するわけではないので、組織上はスクラップアンドビルドを行わざるを得ません。
俎上に上がってくるのは、パトリオットの高射群に留まらず、陸自の高射特科部隊にも影響が及ぶ可能性があるでしょう。
XRIM-4陸上配備型の話題も出ていますが、陸自が中SAMによるホーク後継ミサイル選定を失敗(中SAMがウエポンとして失敗という意味ではなく、更新が頓挫してしまうようなシステムとなった事が部隊建設上の失敗という意味)した事もあり、THAAD導入問題は、今後の陸空高射部隊を巻き込んだ大きな組織改編に繋がってくる可能性があります。
過去にはナイキJの配備に伴って、陸自から空自への人員の転換がありましたが、これと同様に陸自高射特科の人員が空自THAADに転換する可能性があります。逆に、THAADが陸自高射特科群に配備となり、パトリオット部隊が縮小するような可能性もなきにしもあらずと思われます。
個人的には、THAADはJADGEとの連接が大前提であり、おそらく固定運用となるため、空自とすることが適切だと思いますが、陸・空幕間で綱引きがあるかもしれません。

この件は、引き続きフォローしていきます。

元記事全文
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 北朝鮮の弾道ミサイルに備え、防衛省が現在保有している海上配備型迎撃ミサイル(SM3)、地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)に加えて、新型迎撃ミサイルの導入を検討していることが4日、分かった。地上配備型の「高高度広域防衛システム」(THAAD、サード)と呼ばれ、防御範囲がPAC3より10倍程度広い。同省は、SM3とPAC3を補完する「第3のミサイル」と位置付け、年末に行う「防衛計画の大綱」(防衛大綱)や「中期防衛力整備計画」(中期防)の改定に反映させることも視野に入れている。

 弾道ミサイルの軌道は、米国の早期警戒衛星が発射を探知した後、日米のイージス艦やレーダーの情報を合わせて計算する。現在の日本のミサイル防衛(MD)は2段構え。飛来してくるミサイルはまず、海上自衛隊のSM3が高度100キロ以上の大気圏外で迎撃する。

 これを撃ち漏らした場合、弾道ミサイルが地上15~20キロに到達した時点で、航空自衛隊のPAC3で迎え撃つ仕組みだ。

 ただPAC3は射程が20キロ程度と短く、地上の守備範囲も半径20キロ程度に限られるため、発射情報を事前に得て必要な場所に移動しておく必要がある。首都圏、中部、近畿地方に配備され、10年度中には計11カ所に広げるが、日本全土をカバーするのは難しい。

 一方、THAADは射程が100キロを超え、地上の防御範囲もPAC3の10倍程度広い。国内に3~4基配備すればほぼ全土を守ることができる。数百キロ飛ぶSM3より射程は短いものの、大気圏の内外いずれでも迎撃可能で、SM3では対応できない低い軌道の弾道ミサイルも撃ち落とせるという。米軍は9月から米国内で実戦配備する予定だ。

 PAC3は11カ所への配備で5000億円程度かかる。防衛省はTHAADの導入費を明らかにしていないが、THAADの方が少ない予算で日本全土をカバーできると見込んでいる。【仙石恭】
 ◇解説…新型配備に数千億円、費用対効果に疑問も

 防衛省が導入の検討に入った新型迎撃ミサイル・THAADは、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)と地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)を補完するものだが、政府は既にSM3とPAC3に8000億円以上を費やしている。THAADの配備に数千億円が必要なのは確実で、防衛予算が年々減る中、ミサイル防衛(MD)にどれだけカネをつぎ込めばいいのか、政府は難しい判断を迫られている。

 4月、北朝鮮が日本上空を越える弾道ミサイルを発射したことで、自民党国防族を中心にMD拡充を求める声が勢いを増している。その際には、PAC3の不足も指摘された。ただ、MDには費用対効果への疑問もある。米国頼みの早期警戒衛星導入が先だとの声も強い。著しい技術革新で費用が膨らむ一方のMDと、通常装備とのバランスをどう取るのか。「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の改定を前に、政府には慎重な判断が求められる。【仙石恭】
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7連射

独立記念日の4日という事前予想が出ていましたが、北朝鮮は期待に違わず実施してくれました。
「「2発はノドン」 弾道弾7発連射」 (産経新聞09年7月4日)
「北朝鮮、7発目は中距離ミサイル「ノドン」の可能性」 (朝日新聞09年7月4日)
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北朝鮮は4日朝から夕方にかけて、東部の江原道旗対嶺(キッテリョン)のミサイル基地から日本海に向けて弾道ミサイル計7発を断続的に発射した。韓国政府が明らかにした。韓国軍は7発とも400~500キロ飛行したと分析している。

 午前8時~8時半に2発発射した後、同10時45分、正午、午後2時50分、同4時10分、同5時40分ごろにも各1発撃った。韓国政府などによると、速度や航跡などから1~4発目が短距離弾道ミサイル「スカッドC」(射程約500キロ)で、7発目は飛距離を抑えた中距離弾道ミサイル「ノドン」(同約1300キロ)の可能性が強く、5、6発目はスカッドかノドンのいずれかとみられるという。
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産経と朝日では、ノドンと断定している数が若干違いますが、このへんは分析を待たなければならないでしょう。

さて、前回の記事で情報発表は控えるべきと書きましたが、今回祭りは行わず、記事で提言した通りの対応でした。
というより、スカッド中心で、ノドンも射程を短縮した発射だったため、十分な捕捉が出来なかった可能性も高いでしょう。

この辺り、いろいろと分析、評論を期待している方も多いと思いますが、現時点では公開されている情報が少なすぎ、軍事的な側面の分析は困難です。
追加で情報が出てくれば、論評します。

政治的には、独立記念日に併せたということで、メッセージ性の強い行動だった訳ですが、この辺は興味がないのでパスします。

北朝鮮による弾道ミサイル発射は、今日の7発に留まらず、テポドン2などの発射も予想されているため、また情報があれば、お伝えします。

情報発表は控えるべき

まず最初に、前回記事に書いた東倉里からの弾道ミサイル発射方位ですが、東京の先にはマーシャル諸島があるとのコメントを頂きました。
確かにそうです。この点は見落としてました。アメリカのMD試験場もあるので、ハワイ方面と条件的には変わらないですね。わざとそちらに撃つという可能性も無いわけではないですが、考え難いオプションです。
となると、射距離6000km程度と考えると、どっちに撃っても都合が悪いです。残る可能性は、津軽海峡付近を通ってハワイと米本土の中間あたりを狙うルートかもしれません。
なんにせよハッキリ言えることは、北朝鮮も悩んでいるだろうという所でしょうか。

さて、では本題です。
前回記事にも書いたとおり、北朝鮮が中距離及び長距離の弾道ミサイル発射を準備していると伝えられています。

ミサイル発射の態様がどのようなものになるかについてはまだ予断を許しませんが、複数のミサイルを複数の地点から発射する動きがあり、今頃、政府・防衛省は頭を抱えていると思われます。
前回、4月5日の飛翔体発射の際は、PAC-3を展開させるなど、政府・防衛省は、国民を守る意思を見せましたし、その能力があることも見せました。
ですが、次回の発射では能力の限界が表面化してしまうかもしれません。そうなれば、北朝鮮は軍事行動の際には能力の限界を衝いた作戦を採るようになりますし、日本国民の不安を助長してしまうかもしれません。

今回問題となってくる自衛隊MD態勢の限界は、監視能力、特にイージス艦による監視能力です。(もちろんパトリオットPAC-3による防護範囲の問題もありますが、これはもとより分かっていたことです。)
イージス艦のSPY-1レーダーによって、北朝鮮からの弾道ミサイル発射を監視・観測するためには、北朝鮮近海まで進出するのでなければ、LRS&T(長距離捜索・追随)によらなけばなりませんが、LRS&Tでは捜索範囲(角度)が狭まります。
私も具体的な設定可能数値は知りません(知ってても書けませんが)が、探知確率と捜索範囲(角度)はトレードオフの関係にあり、監視が難しい状況であれば、探知確率を上げるため、より狭い範囲の捜索とせざるを得ません。(この辺りの理論的な話は、リクエストがあれば書きます)

例えば、今回発射地点として予想されている北朝鮮西部の東倉里(トンチャンニ)からの発射を警戒・監視する場合、日本海海上からでは、北朝鮮の中央山脈部を越えた時点でなければレーダーでの捕捉はできないため、レーダー覆域に目標が入った時点では、目標はより高速になっていますから、目標として確立することは、発射直後から捕捉する場合と比べると、かなり困難になります。こう言った状況では、捜索範囲を絞って探知確立を上げないといけません。

また逆に、探知確立を上げるため、捜索覆域を絞った場合、東倉里からの発射方位によっては、例えば南に向け、沖縄方面にミサイルを発射されたケースでは、早期に捜索覆域から目標が飛び出してしまい、探知・補足に失敗する可能性も出てきます。

能登半島沖において、東倉里からの発射を警戒する場合のイージス(LRS&T)捜索範囲例


更に、今回は東倉里だけでなく、舞水端里(ムスダンリ)や旗対嶺(キッテリョン)からも同時に発射が行われる事が予想されていますし、既に実戦配備が行われているTEL(移動式の発射機のこと)使用のノドンは、これらの有名な発射場とは別の地点から射撃される可能性が高いでしょう。
つまりは、今回必要な監視を行うためには、イージスの監視能力だけでは、完全に不足するということです。
詳しく述べませんが、FPS-3改を装備するサイトも状況は全く同じです。

となると、今回のように複数地点、それも発射地点として予想されていない場所からも発射される可能性を想定しなければならない状況(当然有事もそうでしょう)では、FPS-5による広範囲の監視能力とJADGEとLINK-16によるセンサー統合が極めて重要になります。

もちろん、事前に発射地点を確認して置くことも非常に重要で、自衛隊は既に監視を強めているようです。北朝鮮がコレに反発するコメントを出しています。
北朝鮮、「日本の偵察機を撃墜」と警告 (産経新聞09年6月27日)
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 北朝鮮の朝鮮人民軍空軍司令部は27日、日本が北朝鮮の日本海側一帯への偵察飛行を相次いで行っていると非難、「われわれの領空を少しでも侵犯するなら、容赦なく射撃する」と警告する報道文を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。

 同司令部はまた「米国と共謀し、わが国の衛星打ち上げと核実験に関する国連での制裁決議でっち上げの先頭に立っていた日本が、偵察行為に乗り出したことは、許し難い軍事的挑発だ」と主張した。(共同)
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FPS-5、JADGE、リンクが完璧に仕事をこなしてくれれば、例え複数箇所からミサイルを発射されたとしても、前回4月5日と同様に、ミサイルを捕捉追随し、必要があれば迎撃を行うことも可能です。(FPS-5が捕捉し、他の機器に自動配信し追随・対処する。)
ですが、本当に可能か否かは、当事者である防衛省・自衛隊さえも答えられません。
各種センサー(FPS-5、FPS-3改、イージス)の捕捉目標を、JADGEなどの統制システム、リンクを通じて他のセンサーや迎撃手段(イージス、PAC-3)に自動配信(キューイング)するシミューレーション試験は行っているものの、実際に弾道飛翔目標を使った実地試験は行われていません。(予定があるとの情報もなし)
唯一、前回4月5日が実戦でのテストとなり、良好な結果が得られたようですが、複数のミサイルが同時に発射された場合にもシステムが確実に作動するかは、やはり不透明です。

この点について、現役自衛官だった時に、実地試験をやるべきで、その際にこんな試験方法があるといった発案もしていたのですが、主に予算的な理由からNGでした。

もし、ミサイルの同時発射が行われた際に、完璧な捕捉追随ができなければ、そしてその事が北朝鮮にも明らかになってしまえば、北朝鮮は例えMDがあったとしても、弾道ミサイルによる有効な戦術が可能だと認識してしまいます。
また、どんな方法を採れば、MDによる迎撃を回避し易いかも認識してしまうでしょう。

という訳で、早ければ7月初旬にも行われる可能性があると見られる北朝鮮による弾道ミサイル発射に当たっては、前回4月5日のような詳細な情報発表は行うべきではありません。
完璧な仕事ができればOKですが、ノドンまで含めた同時発射が行われれば、それはおそらく不可能です。
そして、北朝鮮とすれば、欠落した情報が何かを判断すれば、MDの盲点が把握できてしまいます。

国民に安心を与えることも必要ですが、今回のように、防衛の現場に与えるマイナスの影響が大きい場合は、一切発表せずでも良いはずです。
今の内から発表しないことをアナウンスしておけば、それほどの不安・混乱は起こらずに済むのではないかと思います。

こんどは東京

北朝鮮北西部の東倉里(トンチャンニ)で発射準備が進められている弾道ミサイルの発射方位について、防衛省が青森上空を通過してハワイ方面に飛翔するコースを予想していると報じられています。
北ミサイル、来月上旬にも発射・青森通過か…防衛省分析 (読売新聞09年6月18日)

報道の内容は、4月5日に発射されたミサイルと同等の性能(射程4000~6500キロ)を前提として、防衛省としては、〈1〉沖縄〈2〉グアム〈3〉ハワイ―の3方向に発射される可能性があると予測しており、その中でも、青森県上空を通過するハワイ方面の可能性が高いと予測している、というものです。


ピョンヤンを中心とした、正距方位図法での地図

沖縄方向は、ブースター落下が中国沿岸になり、それによって中国の反発を招くために可能性が低いとされていますが、中国の反発はどの方面に撃っても大差ないでしょう。
それよりも、沖縄方面に飛翔させた場合、射程を考えると、弾頭部や3段目ブースターがインドネシアやオーストラリア、それにフィリピンなどの陸地、あるいは回収可能な浅い海に落下する可能性があり、北朝鮮としては現物を回収され解析されることを嫌うでしょうから、確かにその可能性は低いと思われます。

次に、グアム方面の場合、読売の報道にもあるとおり、1段目ブースターが韓国あるいは日本の中国地方に落下する可能性が高く、この場合もミサイルの情報を守りたい北朝鮮としては避けたいケースです。

最後にハワイ方面の場合、ブースターや弾頭部が回収される可能性が低く、アメリカへの圧力にもなるため、コレを選択するだろうと報じられている訳ですが、ハワイにはSBX(海上配備Xバンドレーダー)が展開している他、MD関連施設も多数あり、北朝鮮とすれば、回収されなくともかなりのデータが取られることになります。
また、安全性という点では必然性はなくとも、ハワイの手前で、イージスによる迎撃が行われる可能性もあります。現在のSM-3ブロック1では、ハワイ近海まで飛翔する弾道ミサイルの迎撃の可能性は低いと思われますが、アメリカはギャンブルしてくる可能性もないとは言えません。
という訳で、私としてはハワイ方面にミサイルを撃つ可能性は低いのではないか、と考えています。

となると、どちらに撃つかということになりますが、北東のアラスカ方面は、ハワイ以上にデータ取りや迎撃される可能性があるので、当然ありえません。
北方に射撃し、ロシア上空を通過して北極海に落下させるケースでは、最近ロシアも反発を強めているので、可能性としては低いでしょう。

条件としては、ブースターや弾頭部などが陸地や浅海に落下せず、落下地点付近に濃密な観測や迎撃態勢がない方位ということになります。具体的には、南東方向、グアムとハワイの中間的方位、つまりは東京上空を通過するルートではないか、と思えるのです。

東京あるいは関東地方の上空を通過するルートを飛翔させれば、日本としては強烈に抗議することになります。ですが、北朝鮮は今さら日本の反発など気にはしないでしょう。
北朝鮮は、本当にやるかもしれません。

最後に、読売記事の全文転載を載せておきます。(読売の記事は直ぐに消えてしまうので)
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北ミサイル、来月上旬にも発射・青森通過か…防衛省分析

 北朝鮮北西部の東倉里(トンチャンニ)で発射準備が進められている長距離弾道ミサイルについて、防衛省が、青森上空を通過して米ハワイに向かうルートで発射される可能性が高いと分析していることがわかった。

 発射は早ければ7月上旬になるとしている。同省は、この分析と米国の偵察衛星からの情報などをもとに、迎撃ミサイルSM3搭載のイージス艦や、地上配備型迎撃ミサイルPAC3などの部隊をどのように展開するか本格的な検討に入った。

 同省によると、北朝鮮には、4月に長距離弾道ミサイルを発射した北東部の舞水端里(ムスダンリ)のほか、韓国との軍事境界線に近い旗対嶺(キッテリョン)と、黄海に近い東倉里にもミサイル基地があることが確認されている。東倉里には5月30日、平壌近くのミサイル製造施設から、テポドン2かその改良型が運び込まれたとみられている。

 同省は、このミサイルが2段式または3段式で、4月に発射された長距離弾道ミサイルと同等以上の性能であることを前提に、〈1〉沖縄〈2〉グアム〈3〉ハワイ――の3方向に発射される可能性があると予測。このうち沖縄方面の場合、1段目のブースターを切り離すと、沿岸に落下する中国の反発を招くこと、グアム方面では、韓国から日本の中国・四国地方の上空を通過するためブースターを陸地に落とさざるを得なくなることから、いずれの可能性も極めて低いと分析している。

 一方、ハワイ方向ではブースターを日本海に落とせることや、長距離化に成功すれば、北朝鮮のミサイルを「北米やハワイの脅威ではない」としている米国に対しても大きな軍事的圧力になるため、最も可能性が高いと結論づけた。

 ただ、ハワイまでは約7000キロあり、新型のテポドン2改良型でも射程は4000~6500キロ程度のため、青森上空を通過する最短ルートでもハワイには到達しないとみている。

 偵察衛星の映像では、すでに東倉里の基地内にミサイルの発射台が確認されているが、ミサイルを組み立て燃料を注入して打ち上げるまで10日以上かかる。また2006年のテポドン2の発射が米国の独立記念日にあたる7月4日(日本時間では5日早朝)だったことや同8日が金日成主席の命日にあたることから、同省は4~8日に発射される可能性を想定している。

 北朝鮮のミサイルを巡っては、舞水端里への運搬の動きが17日になって確認され、旗対嶺でも、ノドンや新型の中距離ミサイルの発射準備も進んでいる。このため同省は、3か所の基地から同時にミサイルが発射されることも視野に迎撃体制の検討を進めている。
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海賊対処法可決成立

何度か関連記事を書いたので、特に論評はありませんが、お知らせしておきます。

6月19日になって、やっとこ海賊対処法が可決成立しました。
海賊対処法、年金法、税制法、再可決され成立 (朝日新聞09年6月19日)

法案は、衆院通過後、参院で否決されていましたが、衆院本会議で与党の3分の2以上の多数で再可決されて成立しました。
結局、民主は最後まで反対しました。
防衛問題に関する限り、とても影の内閣を持つ責任ある政党とは思えない行動です。
これでは、総選挙になっても票は入れられませんね。