第101無人偵察機隊 | 数多久遠のブログ シミュレーション小説と防衛雑感

第101無人偵察機隊

先日の記事「離島有事に無人偵察機」において、第101無人偵察機隊という部隊の存在について書きました。
産経新聞がその存在を知らず、誤報を書くくらいレア度の高い部隊です。そこで、今回はこの第101無人偵察機隊について、紹介したいと思います。


ただし、私の知識は数年前までの情報+公刊資料がベースですので、最新の状況とは若干差異があるかもしれません。


さて、この第101無人偵察機隊ですが、陸上自衛隊北部方面隊第1高射特科団の隷下部隊です。当然、上級部隊である第1高射特科団の任務遂行に寄与すべき部隊なのですが、偵察によって高射特科団が必要とする対空情報を収集する部隊ではありません。

装備するチャカRは、地上目標の偵察はできますが、対空目標の捜索は不可能で、無人偵察機隊という名称ではあるものの、実質的な主任務は、偵察ではなく高射特科団の訓練支援になります。


同部隊は、北海道日高地方の静内町にある静内駐屯地に所在しており、静内対空射場などにおいて行われる対空射撃訓練に対して、ターゲットドローンを飛行させ、模擬目標を提供しています。
装備する主な機材は、基本的な構造はチャカRと同一のチャカ3と、チャカ3より速度の低い目標を模擬するためのRCAT(アールキャット)です。
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/omoshiro/military-powers_omoshiro-06.htm


同部隊は、静内対空射場において第1高射特科団だけではなく、全国の高射特科部隊に加え、空自の基地防空部隊(以前は海自も)の訓練を支援しています。
また、同じく静内で行われているOH-1のAAM射撃訓練も支援しています。

部隊の名は体を現していないのですが、新島の試験場を除けば、国内でSAMの射撃訓練が実施できる射場が静内しかないこともあり、縁の下の力持ちとして重要な部隊です。

同部隊が支援する静内での射撃訓練には、短SAM(SAM-1、SAM-1C)や携SAM(スティンガー、SAM-2)の他、87AWなどの高射機関砲があり、漁業補償などの関係から、春から秋にかけて、全国の部隊が静内で訓練を行います。


おまけ

これらの訓練が行われる静内対空射場は、海岸沿いを走る国道235号線の海側にあり、ミサイルの射撃訓練という非常に珍しいものでありながら、一般の人が容易に目にすることができるという極めて稀な場所にあります。
(ちなみに山側は静内駐屯地となっています)
対空ミサイルの実射訓練は、例え自衛官であってもめったに目にすることは出来ないため、訓練の際には、多数の見学者が訪れます。
そのレアな機会に、運が良ければ(タイミングが合えば)、距離的にはほとんど変わらない位置にある国道上から、ターゲットドローンの飛翔やミサイルの発射を見ることが出来る訳です。(情報保全上は結構問題ですが)

ミサイルの射撃を見たい!、という人は、国道上で粘ってみると良いかもしれません。
(おまわりさんに職質されても関知しませんので、あしからず)