甲状腺と疲労感
疲労感は、甲状腺ホルモンが過多になる甲状腺機能亢進症でも、甲状腺ホルモンが減少する甲状腺機能低下症でもみられる状態です。
甲状腺機能亢進症(8~9割がバセドウ病)では、代謝の高くなりで体の多彩な機能がはたらき過ぎの状態になり、エネルギー消費が多量になってきます。
そのため、少し身体を動かすだけでも疲れやすくなり、状態が進むと何もしないでいても疲れを感じるようになってきます。
甲状腺機能低下症の場合には、逆に全身の代謝低下によって体のすべての機能が低下します。
そのため、栄養や酸素を運ぶ血流も鈍くなり、疲労が解消されない状態になってきます。
そして、状態が重くなるにつれて疲労感が蓄積されて、常に疲労を感じるようになっていきます。
疲労感というのは、周囲からみると単にやる気がなかったり怠慢に見えたりするため、誤解されてつらいおもいをする事もあるとされています。
何となくだるい、いくら寝ても疲れが取れない
現代人はとにかく忙しいものです。こなす仕事の量が多いだけではなく、睡眠時間が十分に取れない、ストレスが多い、などが疲れを増加させるのでしょう。
さて、単に疲れているだけであれば十分な休養を取ればよいのですが、特に疲れるようなこともしていないのに疲れが取れない、いくら寝てもだるい、という症状を訴える患者さんが年々増えています。
その背景には、意外な病気が隠れていることが少なくありません。
すぐに思いつくのは、慢性肝炎・肝硬変など肝臓の病気、慢性腎臓病など腎臓の病気でしょう。
あるいは糖尿病や心不全などの心臓病、貧血、各種のがんなどでも高い頻度で疲れをきたします。
また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害、うつ病などの心の病気でも疲れをきたすことはよく知られています。
甲状腺の病気は、いまや女性の5~10人に1人が持っていると言われています(男性には比較的少ないものです)。
甲状腺とは、“のどぼとけ”のすぐ下にある器官で、全身の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺機能低下のサイン
疲労感、無力感、脈が遅くなった、不眠、冷え性、生理不順、貧血、平熱がいつも36度を切る、ボーッとしていることが多い、便秘気味、コレステロール値が高い、集中力が足りない、 ずんぐりと太り気味、顔もどこか全体的に浮腫気味、毛髪がごわごわしてきた、皮膚もかさかさ。
爪の変形で爪甲剥離(15%ほど)。
うつ病と診断されている人の中には、かなりの確率で、甲状腺機能低下症の人がいるはずです。
海草などに多く含まれるヨードは甲状腺ホルモンと密接な関係で、ヨードの摂取量が多すぎても、少なすぎても、機能異常になるそうです。
日本人はとりわけ昆布だしを使ったり、海苔を食べたりと海草を好んで食べる食文化が受け継がれています。
甲状腺の異常を先天的に有する人は10人に1人とも、20人に1人ともいわれ、世界中でも甲状腺機能の異常が出やすい民族なのです。
職場、家庭、人間関係などストレスの多い環境の中で、精神的な疲労が原因で発病する傾向がある甲状腺異常ですが、
健康診断などで、コレステロール値が急激に上昇した場合は要注意です。