こんばんは。

自伐型林業担当の山本です。

 

今日はお昼過ぎに、突然大雨が降ってきましたね。

林業班の新人メンバーは、今日も林内で作業道作成の練習をしていたのですが、雨でぬかるんだ道でメンバーの車が動かなくなり大変な思いをしました。

見た目ではある程度思った通りの道を作れるようになっても、丈夫さや水捌けの良さなどの点から見てみると、まだまだ経験不足だなということを実感させられました。

 

さて、今日は僕が山に入る時に楽しみにしていることについて書いてみようかと思います。

僕が活動の軸にしているのは「里山の整備」ですが、里山は里の人が日常的に足を運んで初めて成り立つもの。ふと訪れたくなる気持ちの良い場所を作るのはもちろんですが、併せて山のちょっとした魅力も今後は少しずつ紹介していけたらと思っています。

第一弾は、暖かくなってきた山で見かけることが多くなってきた、“きのこ”についてです。

 

 

 

【そもそもきのことは?】

スーパーに行くと野菜コーナーの一角に置かれているきのこ。

県北では道端に直売所があったり、道の駅の産直コーナーに置かれていたりと、他の地域以上にお馴染みの食材かもしれません。

 

ではきのこってなんなんでしょう?

僕は一年前まで、野菜コーナーにあるので植物の仲間かと思っていました。

でももちろんそれは間違っていて、きのこは生き物として全く別のカテゴリー、カビの仲間の菌類でした。

理科をちゃんと学び直した方がいいのかも、と思った瞬間でした。

 

 

【氷山の一角】

普段目にするいわゆる“きのこ”は、実は樹木で言うところの花の部分で、子実体(しじつたい)と呼ばれるものです。

本体は地中に張り巡らされた菌糸で、パッと目に付く場所にはいないことが多いように思います。

(でもそこはカビの仲間だけあって、湿った落ち葉の裏や、表土を少し剥いでみると、割と簡単に見つかります。)

その菌糸が十分に育って、子孫を残そうと思った時に、次世代の種(胞子)を飛ばすために地上に伸ばした器官が“きのこ”です。

とても長く、広大な範囲に渡って延びた生物のほんの一部を“きのこ”と言っているに過ぎないんですね。

たった1杯のスプーンで森の土を掬っても、その中には何キロ分もの菌糸があり、一説には世界で一番大きな生物とも言われています。

 

 

【きのこの種類】

ではその生態についてもちょっとだけ書いてみます。

 

〜分解者のきのこ〜

山を歩いていると、木に半円形のものがくっついているのに出くわすことがあります。

 

 

サルノコシカケなどが有名ですが、これらは腐生菌、もしくは腐朽菌と言われる種類のきのこです。

名前の通り、木を腐らせることで、生きる糧を得ています。

木を腐らせると言うことで、庭木や街路樹の目の敵にされることも多いですが、この菌があることで森は寿命を終えた木の残骸で溢れてしまわずに済んでいます。

また、老化した樹木にこの菌がつき、ゆっくりと死に向かっていくことで、樹木の世代交代が進むと言う側面もあります。

このように生態系の中で分解者の役割を担ってくれているのが、腐生菌のきのこたちです。

ちなみにしいたけなどの栽培きのこもこの種類で、いわゆる“きのこ”的な形をしたものも沢山あります。

 

〜木と共に生きるきのこ〜

そしてこれから秋頃までのシーズンに増えてくるのがこの子たちです。

 

 

これらのきのこは分解を生業に生きているわけではありません。

樹木と二人三脚、手を組むことで生きています。

そんなきのこを共生菌、もしくは菌根菌と呼びます。

きのこは植物ではないため、光合成をしてエネルギーを自家発電することはできません。そこで樹木の根っこと繋がり、栄養を分けてもらいます。

その代わりに、根っこでは手の届かない土壌の隙間や奥の方から、樹木単体では集めにくい成分や水分を運んできて渡します。

こうやって持ちつ持たれつの関係を築きながら生きることにしたのが、共生菌のきのこです。

 

それぞれの得意分野を活かして、支え合って生きている。

「なんだ。人間社会と同じじゃないか!」と気付いてから、目の前に広がる大きな森という空間だけでなく、目には見えない“関わり合い”のプロセスが面白くって仕方がなくなりました。

それを知りたい知りたいと色々追いかけるうちに、気がついたら九戸へ来て、山仕事までを始めていました(笑)

 

今、施業している山も、ある程度の整備ができたら皆さんに気軽に来ていただけるオープンな場所にできたらなと思っています。

その際にはぜひ一度しゃがんで、地べたに近い位置から森を眺めてみてくださいね。

 

それではこの辺で!