こんにちは佐藤です

木炭の話をします。

 

かつて木炭は日本中の家庭で生活必需品のように扱われていました。

とはいえ、現代においてもまだまだ木炭を使う人はいます。

ホームセンターに行けば簡単に手に入るし、BBQやキャンプにおいてよく見かけますね。

そんな身近な木炭ですが、作り方を知っている人は少なくなってきているように思います。

 

今回は、岩手の地域ブランド品である岩手木炭を軸に木炭の作り方を紹介します。

 

こちらの映像と合わせて読むと分かりやすいです。

【動画】木炭の作り方 [Youtube]

 

 

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木炭トハ木材を焼キ又ハ乾餾シテ炭化セシメタル一種ノ燃料ナリ。 ソノ外観ハ色黒ク質概シテ軽軟ナル固體ナリ。 近時、炭ニ木ノ一字ヲ冠シ木炭ト稱スルヲ普通トセリ。 

 

『木炭ニ関スル経済調査』 鉄道省大正十五年

 

 

 

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【木炭とは】

 

 木を加熱し炭化させることで作られる木炭は燃料の一種であり、日本において石油やガスが普及する以前、多くの家庭で使われていました。

 岩手県は黒炭の製炭が盛んで大正初期、木炭生産量は日本一になりました。そして、令和現在も岩手の木炭生産量は他の追随を許しません。百年以上、莫大な量の木炭を焼く中で磨かれてきた職人技は今も精煉し続け、ついには木炭を岩手の地域ブランド品、”岩手木炭”へと昇華させました。

 

 

 

「同じ炭は二度と作れない」

 

 

 

“天候” ”原木” ”炭窯” ”技” これらの僅かな変化によって木炭の出来上がりは変わります。

 実際には、一定の質を維持するために職人たちが技を使っているので案ずることはありませんが、同じ原木、同じ炭窯でも職人やその技によって木炭の質は変わるという事です。

 ところで、岩手の木炭年間生産量を昭和中期(全盛期)と現代で比べてみるとおよそ100分の1までに落ちています。時代に椅子を取られながらも製炭業界は続いてきましたが、炭焼き職人の数は減少傾向にあります。

 

 

今ある岩手木炭を大切にしましょう。

 

 

 

 

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【木炭ができるまで】

 

おおよその製炭工程を紹介します。

※以下の製炭工程は九戸村 七戸産業の取材や関連資料を元に佐藤が作成したものです。地域や職人、炭の種類によって差異があることを了承ください。

 

小割→炭材立込→点火→炭化→精煉→消化→出炭→切分→包装→出荷

 

[製炭工程1(木割〜炭材立込)必要日数:3日以上]

 

炭化の工程で中まで火が通りやすいように原木のサイズを揃えて、窯の中に立てて行きます。

 

木割:原木の長さは約93cmで、太さは大きめの拳一つ分くらいです。

 

炭材立込:1回の製炭で、約10~12tの原木が窯の中に入ります。そのため、木立ての作業は二人で行って1日半ほどかかります。

 

 

 

[製炭工程2(点火〜消火)必要日数:20日以上]

 

窯の前口で火を焚いて、窯の中の温度を徐々にあげていきながら炭材たちを蒸し焼きにします。前口と後口の空気穴を調節、窯内の酸素の量を整えながら炭化・精煉したら、空気穴を閉じてゆっくり消火します。

 

点火:窯の中の温度を上げて、炭材を乾燥させるために前口でクズ木材や炭粉、薪を燃やします。およそ3日間燃やし続ける必要があるため、昼夜関係なく1日に3回薪を追加し続けます。この時、まだ中の炭材には火はついていない状態です。

 

炭化・精煉:窯の中の温度が上がってきたら、前口の蓋を粘土で固定し長期間加熱します。この間、温度計を見ながら空気穴を調整します。

 

消火:炭化・精煉の工程が終わったら、空気穴を閉じ窯の中を密閉することでゆっくり温度を下げながら消火します。次の工程へ移れる程度に窯が冷めるまで7日間程かかります。

 

 

 

[製炭工程3(出炭〜出荷)必要日数:4日以上]

 

焼き上がった木炭を窯の中から全て出し、加工したら出荷します。完成した木炭は凝縮されたように小さくなり、重さも4分の1ほどになります。

 

出炭:窯の中に入り、木炭を慎重に外へと運び出します。水分や不純物が取り除かれているため軽く、乾燥しています。木炭の粉が舞う窯の中で作業するため、マスクをしないと鼻の中が真っ黒になります。

 

切分・包装・出荷:一本状態の木炭を切り揃えたら、袋に詰めます。形がそれぞれ違う木炭をなるべく四角に収まるように組み合わせるのがコツです。最後は、紐で縛り完成です。

 

 

 

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