自身の前回のブログで、蝉の話を書きました。

確かに蝉は興味深い。

面白い学術論文を見つけたので紹介します。

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ヒグマは人工林でセミ幼虫を食べる|日本クマネットワーク

https://www.japanbear.org/other/other-3052.html

 

Tomita, K., & Hiura, T. (2020). Brown bear digging for cicada nymphs: a novel interaction in a forest ecosystem. Ecology, 101(3), e02899. https://doi.org/10.1002/ecy.2899

 

北海道大学の富田氏が、2020年にEcologyという国際雑誌でPublishした論文です。

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この論文で、私が面白いと感じた点は5つ。

(1)知床半島のヒグマが、土を掘って蝉の幼虫を食べる事が、ひぐまのから明らかになった。

(2)ヒグマが蝉の幼虫を食べるという事は、世界初の報告であり、今まで全く知られていなかった。

(3)ヒグマは、人工林を熱心に掘っていた。天然林は掘っていなかった。

(4)人工林では、天然林よりも10倍以上多く、蝉の幼虫が見つかった。

(5)「人工林が、野生動物の生息地として天然林よりも価値が低いわけでない」事が示唆された。

熊さん達が一生懸命に幼虫を掘り出している。よほど美味しいんだね。

熊さんの糞。

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感想

1)食物連鎖について:

地上に出てからの生存期間が短い蝉は、どういう食物連鎖になっているのか、不思議に思っていたが、幼虫期にも他の動物の餌になるんだね。熊の糞がさらに土の肥料になり、残った幼虫には良い環境になる?。

 

2)幼虫期間が長〜い事は、蝉にとって、何かの利点があるはず。どんな利点があるか、知りたいと思いませんか?。

 

3)人工林も、天然林に負けずに野生動物の環境に役立っていることがわかる。天竜美林の人工林に囲まれた故郷(浜松市天竜区熊)にとって、この論文は、一種の朗報の様に感じます。天竜美林も、天然林より野生動物に貢献している可能性があるわけだから。