私の記憶の中で、衛藤先生が三絃(三味線)を弾いておられた機会はそう多くはありません。衛藤先生というとやはり箏を弾いておられるお姿がパッと脳裏に浮かびます。

 
衛藤先生と三絃...記憶の中で一番古いのはまだ私が衛藤先生の「孫弟子」だった頃、衛藤先生の前で古典の「八千代獅子」を箏で弾いた時です、
小学生だった私は緊張しながら衛藤先生や諸先輩のおられる前で弾き始めました。すると、先生は私の演奏を止め、「僕も弾きます。三絃を持ってきてください」とニコニコしながら近くにおられる方に仰いました。
「先生が一緒に、しかもお三味線で合わせてくださるのだ!」「先生がニコニコと話しかけてくださった!」ととても嬉しく緊張感の中にもワクワクしたことを覚えています。
 
やがて先生のもとに直弟子として通うようになった時には、私が古典の曲を習得すると三絃で合奏をしてくださいました。先生はお稽古の時に随分合奏をしてくださったように思います。私の拙い演奏でも、どこか楽しい雰囲気がありました。先生は楽しんでくださっていたのかな?と思います。
 
衛藤先生が会員になられていた鎌倉三曲会では私も学生の頃に舞台に出させていただいておりました。毎年古典や衛藤先生の曲を練習して会に出しましたが衛藤先生が三絃を演奏されることもありました。その時の写真がこちらです。平成3年の鎌倉三曲会で、曲は「千代の寿」。
衛藤先生と三絃...貴重な一枚です。(後列左端は、私です。私も三絃弾いています!)