前回ご紹介した衛藤先生の録音は、衛藤先生がまだアメリカに居たころの録音です。当時のジャケットをInternet上で見つけました。1959年、Koto Musicというアルバムです。

 

私が教えてい頂いたのは、その30年以上後の話。色々な違いがあります。

 

私の演奏した「思い出」を参考音源としてYoutube に上げましたので、是非お聴きください。
https://youtu.be/IW7kyMXpdPM

 

参考音源は、公刊譜に従って演奏しています。衛藤先生に教えていただいた「変更部分」は、敢えて演奏せず、楽譜通りに弾いています。

 

さて。「思い出」は箏譜(縦譜、糸譜)だとメロディや曲の流れが掴みにくい曲です。この点は、箏譜よりも、五線譜で書かれているとわかりやすいと思います。

 
私が演奏する時に気をつけているのは、以下の2点です。
①大きなフレーズをきちんと把握する。
単に音を追うのではなく大きなフレーズの塊がありますので口ずさめるくらいに知っておいて、流れを途切らせずに、大きく息を吸って一気に弾きます。
フレーズが終わった時、すぐ次にいこうとしないこと。この曲は「余韻」が大事なので自分の出している音を充分味わって(気持ちよく味わえるように練習が必要)次にいきます。
箏から離れても、メロディを歌えるようになることが大事。運指の練習とは別に行うべきことです。
主旋律を歌い、その他は少し控えめに弾く。
この曲は随所にメロディ部分とそうでない部分とがあります。「そうでない部分」というものをどう解釈するかは人によるかもしれませんが、二声というより伴奏に近い気がします。二声の場合は各々の「声」でメロディを奏でますが、これは主旋律に付随した形。主旋律の音符をつなぎより複雑な音の流れにする機能をもっていると思います。私は主旋律を歌い、その他は少し控えめに弾くことにより主旋律が浮き立つよう心掛けています。
 
先生に教えていただいてからもう2X年。衛藤先生の思い出が詰まった「思い出」をお聴きください。https://youtu.be/IW7kyMXpdPM