7月30日に開催いたしました、「薫公会演奏会」。「薫公会」の名前からこれからのことを少し、お話したいと思います。
衛藤公雄先生の弟子として先輩方やお仲間たち、お弟子さんとご一緒に開催した今回の演奏会では衛藤先生の作品を多く取り上げました。衛藤先生の作品はその美しい旋律が私たちの心に響き、衛藤ワールドに惹きこまれます。昨今ほとんど舞台で演奏されることがなくなってしまった衛藤先生の作品を通して、その「薫り」を今回皆様にお伝えしたい、そのように思いました。公雄の薫の会、で薫公会です。そして、衛藤先生の薫陶を受けた者の会、という意味も込めています。
私自身、ここ10年ほどは衛藤作品を舞台で演奏することもほとんどありませんでした。3年前に「衛藤公雄 追悼演奏会」にて「緑の朝」「秋」「潮流」という曲を演奏いたしましたのが最近です。10年ほどは、と申しましたのはNHK邦楽技能者育成会を卒業しました頃で、その頃は友人たちといろいろな作品に取り組みました。とても刺激になりましたし、楽しくもありました。しかしここ数年は衛藤先生の曲をまた演奏したい、そうした想いが強くなりました。かつて姉弟子が言っていた言葉を思い出します。「いろいろな曲をやっても、結局また衛藤先生の曲に戻るのよね。」本当にその通りだと思います。
衛藤先生は常々「衛藤流は自分の代で終わって良い。」とおっしゃいました。しかし、先生の生み出した作品、音色、芸術は終わらせてはいけないのだと思います。薫公会演奏会を終えた今、先生の曲、そしてそこから伝わる「衛藤公雄の薫り」をもっとお多くの方々にお伝えしていかなければ、との思いを強く持っております。