今週中にも『芸能界における優越的地位濫用行為』について公正取引委員会(有識者報告会)から報告がなされるようですね
芸能事務所の具体的にどのような行為が優越的地位の濫用に該当するのでしょうか
公取委の発表に先立ちとなりますが、私の見解をブログで触れてみようかと思います
なお、私も公取委の発表内容は知らないので、私の見解と公取委の見解が一致するとはいえないことはご承知ください
Case 1 ギャラ
一方的なギャラの引き下げ
芸能事務所が一方的にギャラの引き下げを行う場合が優越的地位濫用の典型例です
例えば歩合報酬が事務所:タレント=5:5だったのに
『演技に本気度が感じられない』
『しばらくは修業期間として7:3に変える』
というような行為は優越的地位の濫用の典型例です
・・・ちなみにかつて私が代理したケースでこのような相談が実際にありました
承諾書を書かせたとしても・・・
事務所がタレントにギャラの引下げについて承諾書を書かせていたとしても、変更プロセスから実質的に一方的な変更とされた場合には優越的地位濫用に該当します
Case 2 移籍制限・競業避止
タレントに対する移籍制限
『この事務所辞めるなら今後3年間は芸能活動できないぞ』
という脅し文句で今いる事務所との契約継続を迫る行為です
契約書に元々そう書いてあったとしても・・・
芸能契約書に書いてあったとしてもいざ辞める段階になって、実際に圧力をかけた場合、優越的地位濫用に該当する可能性があります
Case 3 干す
タレントを干し仕事を与えない
プロのタレントは事務所からのギャラにより生計を立てています
特に歩合給の場合には、事務所から干され仕事が減ると収入が激減し生活が維持できなくなります
タレントを干しギャラを減少させる行為は「取引拒絶」として優越的地位濫用に該当します
Case 4 損害転嫁
「今辞めるなら売出にかかった費用を払え」
『いま辞めるなら、売出に費やしたプロモーション費用1000万円を払え』と迫ることです
タレントにコスト転嫁を迫る行為は合理的範囲を超える不利益を課す行為として優越的地位濫用に該当します
これも私が代理した事件で実際にあったことです・・・
Case 5 芸名
芸名の継続使用の禁止
「ウチを辞めるなら芸名は使えないよ」と迫る行為です
芸名についての権利を事務所が持つということは理解できなくもないことで、そのような契約書も実際数多く存在します
ただ、事務所が契約継続を強いる手段として
「芸名は事務所が持っており、辞めるなら継続使用を認めない」と迫ることは優越的地位濫用に該当します
本名を芸名としている場合
芸名を本名にしている場合には、芸名(=本名)について事務所が独占的に権利をもつことはそもそも公序良俗違反等で無効になることがあり、優越的地位の濫用に該当する可能性が高まります
商標出願されていると・・・
もっとも、加護亜依さんのように芸名が既に事務所により商標出願されている場合には、法律関係は非常に複雑になります
この場合はケースバイケースとなります
優越的地位濫用の典型例をあげてみました
法的には
①芸能事務所が優越的地位を有し
②芸能事務所が濫用行為をすること
という場合に独占禁止法の規制対象となります
芸能事務所とタレントとのほぼ全ての契約書には専属性(芸能活動をする場合には所属事務所を通さなければならない)が規定されています
タレントの所属事務所に対する取引依存度は100%でかつ、タレントにとって取引先変更(事務所を辞めること)は困難なので芸能事務所が優越的地位にあることはほぼ確実です
問題なのはどのような行為が濫用行為に該当するかですね
『では芸能事務所が優越的地位濫用をした場合どうなるか』
ここにつてはまた後日改めて書きますね
顔がテカリ過ぎですね(笑)