Ψ筆者作「城下の街道」 F30 油彩
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 《憲法99条規定では、憲法への遵守義務が課せられているのは、「天皇・摂政・国務大臣・国会議員・裁判官・公務員」である。見ての通り、この中に「国民」はない。しかし国民は、法律を守る義務はある。守らないと罰せられる。この、国民に法律を守らせる権力があるのが、政府、裁判所、警察・検察ほか公官庁等「公」である。しかしこの「公」にも何某かのタガをはめないと「公」はやりたい放題のファシズムとなる。この「公」に嵌めるタガが憲法である。そしてこの憲法でうたわれた「主権者」が国民である。この原則が「立憲主義」、交錯するパワバランスの上にあるのが「民主主義」ということになる。仮に国民に憲法への遵守義務を規定すると、パワーバランスは崩れ、「公」は一方的に国民を支配・管理しやすくなる。
  この図式を「公」
マスメディア国民に置き換えれば、メディアの役目は明らかとなろう。権力を持たない国民の側に立って、権力を持つ「公」を監視する、それが民主主義に資すメディアの役目というものだろう。ところが昨今のメディアはそうではない。「公」の意向を伺い、国民を挑発、誘導し、あらぬ方向に向かわせようとしている。大手の御用新聞、出版社とその尻馬に乗った提灯持ち文化人にはそうしたメディアの使命に思い及ぶ知性のかけらもない。》

 仮に上記のように、「本質」への視点を欠いた「現象」が、愚かしい皮相だけを呈しても、健全な「文化」があれば救いはある。歴史を見てもある種の文化は歴史の暴走を食い止める役目を果たし、逆にそれが状況に飲み込まれた時は、その逆となる。
一番馴染みある美術界を通じ、本邦の文化事情にも触れなければならない。
経緯は拙ブログの書庫「日展問題」に子細したが、以下は事件の発端となった「書」部門に続いて明らかとなった問題である。
《2013年12月1日付朝日新聞朝刊一面
「日展洋画審査員に現金 入選求め作品写真も(見出し)
公募美術展「日展」の洋画分野で、主要会派の入選候補者が審査前に、応募作品の写真とともに現金や商品券を他会派の審査員に送っていたことが朝日新聞の調べでわかった。主要会派間で入選候補者を事前に推薦しあう慣行があり、金品は入選に向けて便宜を図ってもらう謝礼とみられる。
 洋画の審査員は17人で主要7会派を中心に選ばれ、毎年10月に審査する。入選するには、他会派を含め半数程度の同意が必要だ。
 審査員を何度も経験した日展幹部によると、審査員になると各会派が内部選抜した入選候補者100人以上から応募作品の写真が事前に郵送されてくる。約2千点の応募作品の中から事前に覚えてもらうためだ。「作品がよほど悪くなければ実際の審査で手を挙げる(入選に同意する)」という。この日展幹部はその大半に現金や商品券が同封されていたといい、「作品を事前に覚えるのに手間がかかるので、タダというわけにはいかないということだ」と自身も受け取ったことを認めた。
 一方、複数の応募者も取材に対し、現金を同封して作品の写真を審査員に郵送したことを認めた。 
 中部地方の男性は所属会派の審査員に30万円を渡して他会派の審査員への口利きを依頼した。「他の審査員に話をつけた。その審査員に作品の写真と現金2~3万円を送りなさい」と言われ、昨年と一昨年に写真と現金を送り、2年とも入選したという。別会派の男性は今年九月、審査員経験者から「他会派も含め審査員に作品の写真と2万~3万円を送る準備をしなさい」と言われ、納得できずに日展への応募をやめた。
 事後の謝礼も発覚した。日展前理事長の中山忠彦氏が所属する洋画会派「白日会」では10年以上前から、入選者から任意で1万円ずつ集めて自会派の審査員に謝礼を払ってきた。発起人が「(審査員から)心暖かなご指導とご配慮があった。御礼の気持ちを形であらわしてはいかがでございましょうか」と呼びかける文書を朝日新聞は入手した。今年の入選者約130人のうち約100人が応じ、中山氏ら審査員4人に計約100万円が支払われたという。中山氏は「会派として強制しているわけではなく問題ない」と話す。》
(つづく)