Ψ筆者作「虹の街1」 F30 油彩
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再掲≪虚構8≫
話を元に戻す。もし前記のような、あれもやってない、これも事実無根と言うなら、それは、中国や韓国ではなくアメリカ以下戦勝国、否全世界総てに言うべきだろう。なぜなら、そうしたことが「あった」として、それを行った「日本帝国主義」は看過できない「敵」であり、その敵は「手段を選ばず」殲滅しなければならない、として「ヒロシマ・ナガサキ」の非人道を行い、東京大空襲等無差別大量殺戮攻撃を行い、その「戦争犯罪」を問い東京裁判で東条らを吊るし、徹底的に日本を叩いたのはアメリカだからである。当然、アメリカは前記のような主張を絶対に認知しない。認知したら自分たちの前述のような行為の誤りを認めることになるからである。言い換えるとそのような主張をするならアメリカを敵に回すという覚悟が必要となる。
 ところが、歴代の保守政権は「アメリカは恩人であり永遠のパートナーである」とし、昨今安倍保守政権は、逆に「改憲」、「集団的自衛権」の動きに見られるよう、アメリカの世界戦略に沿った、日米軍事同盟関係を強化し、名実ともにアメリカの「属国化」を推し進めようとしているではないか!つまり、先のような主張をしながらそうするというのは全く矛盾したことなのである。一体尖閣等の何倍の基地(我が国の国土)を提供しているのか?
 つまり、安倍保守政権が使う言葉は、国内向け、中国・韓国向け、アメリカ向け、全世界向けとそれぞれ違うのである。その証拠に世界から「行き過ぎ」を指摘されたり、アメリカから「失望」されたりすると、直ぐに修正したり、言い訳したり、なんとか談話は尊重するなど、その「威勢良さ」は及び腰、「改憲」の中身もそうだが、右翼・保守・改憲派・解釈論主義者陣営はこのような、論理の筋道を伴わない、一貫性のない支離滅裂、場あたり的な御都合主義に覆われているのである。繰り返すが、「愛国心」や「日本を取り戻す」などの威勢の良い精神論を吐きながら、一方で対米隷属を推し進め、国土から諸価値観に至るまでアメリカに占領されまくるというのは滑稽千万な御都合主義なのである。
 御都合主義はまだある。「別腹」ということばがあるが、これは御都合主義というより「別脳」というべきだろう。二者を同一の頭脳で考えるというのではなく、それぞれ都合の良い別の頭脳で考えるのである。例えば、「万一日本が攻撃された時のことを考え防衛戦力を整備する」というのなら、万一「日本にかの東北大震災のような災害が起こったらどうするか」も同じ発想で考えるべきである。しかもそれは万一ではない。「南海トラフ、首都直下型」のメガクェークの確率は向こう30年(もう既に何年も経っている)80%をこえているではないか。そう言う中何故オリンピックなど招致できるのか?「美しい国日本への愛国心」を言うなら、現に国土を汚染させ、生活の場を奪った原発について、世界でも希な四つプレートが交錯し、しかも数多の活火山を擁する全日本的危険因子として捉えるべきであるのに何故再稼働を図るのか。さらに、日本海側に東から西まで連なる原発が仮想敵国から攻撃されたら、核攻撃を受けるのと同じことになる、横須賀を母校とする米原子力空母「ジョージ・ワシントン」が巨大津波で打ち上げられたら、東京、横浜はどうなる!こうしたことは「想定外」では済まない。
 つまり、ひとつの事案に対して都合の良い側面だけを考え、都合の悪い側面は都合良く考えるか無視する。「保守」とは、戦争や環境問題、人種差別、食料や資源、立憲主義など、事の本質やあるべき姿を希求せず、国家管理上必要な法や制度など外側の枠組みを優先する立場を言う。この権力者の論理を、無能でヴァーチャルな「自我保守」の延長戦上に据え、その方向に情報操作し世論を誘導しようとする御用メディアや提灯持ち文化人に扇動させられるは紛う事無き「衆愚」であろう。
(書庫「我思う故に…」より)