Ψ筆者作「若き日」 F20 油彩

今般新しく二つのギャラリーを設置した。一つは≪辺境≫と称する。辺境とは「さいはて」のこと。例えば自分が現に存する現実を此岸とした場合、イメージする世界は彼岸である。言葉にすれば前者は現実、現象、無常、生、後者は理想、本質、永遠、生死の超越とでも言えるだろうか。この二つの世界には境界があり、その境界に近い此岸側にある極地であり、彼岸を望めるところを辺境=さいはてとする。そこは、実体験としての「郷愁」ではなく、もっと深い、得体の知れないところから来るノスタルジーに満たされている。
「彼岸を臨める此岸の極致」とは実際に存在する。現実のエネルギーが強くない場所なので辺境ということのなる。物理的遠近は関係ない。そういう景色を現実に求めて絵の取材に行くがなかなか出会えない。しかし、ふーっと偶然に現れる時がある。
そういうことを繰り返しているうちに、イメージや発想の転換でそれに近いものを得る訓練が身についてきたような気がする。
≪写実をベースにしてイメージを展開させた絵画≫を希求してきたが、そのノスタルジー、辺境を常に意識しているが、今般そういう方向性を志向した作品を自分なりにまとめる必要性を感じ、二つのギャラリーを創設した。もう一つの≪翠蒼≫は私淑する「コローの緑」へのオマージュが介在する。
いずれも既出画像含む。