日展問題につき臨時の書庫を設け、また別書庫「日本洋画史逍遥」と供に周辺歴史的経緯を含め、この「事件」に係る存念を記した。何故それに至ったか、そうする必要性はなにか等は各記事中に仔細したので割愛する。
改めて言うが、日展以下公募団体中心の本邦美術界については、さる2013.10.30日付朝日新聞朝刊による日展に係る初報道の数日前に当ブログにおいてその問題点を指摘したところであり、報道後便乗する形で当稿に至ったわけではない。ことほど左様に、日展等公募団体をめぐる諸々の噂は既に天下周知のところであり、この件はいつかはそうした問題点が白日の下に曝されることの必然性を有することであったと言える。
さてその後「第三者委員会」により「報告」が為されたが、「(改革の)措置を講じない限り日展に未来はない」との文言はあるものの、それが「書」以外の部分には誠に甘い、広くある日展全体への「常識的疑惑」への回答としては甚だ不十分なものであったと言える。
先の記事でも触れたが「報告」の趣旨は朝日の報道内容について「事実であった」との追認と、日展と言う組織を今後どうするかと言う、内部処理に関することのみであった。そこで今般筆者に馴染みの「洋画」を中心に、「報告」で触れられていない問題点を指摘し、この問題の私的総括とする。なお、今後も必要が生じた場合は当書庫で取り上げる。
◎問題の発端となった、「傘下団体等への事前の入選者数の割り振り」があった「書」の篆刻部門においては、傘下団体・組織以外で入選者はゼロであった。これは明らかに「公募」と称しながら、傘下団体等以外の出品者の出品料を詐取したことになる。とするならこれは刑法の詐欺罪に当たる。
したがって各科においてもそのような疑惑が当然推定され、それを払拭するためには、洋画科においては、傘下団体、即ち光風、一水、白日、示現、東光、創元、日洋各会派の入選者数と、それ以外の一切の入選者数の内訳を相当年度遡り総て公表すべきである。なおこの場合、具体的「割り振りの指示」の存否は関係ない。
なお、一部法曹関係者において、一万円の出品料は審査手数料等出品すること自体に係るの費用であり立件は難しいとの判断があるが、これは「公募」に対する「応募」の意義を理解しないものである。誰しもが入選を望んで応募するものであり、当然「公正な審査」が前提となる。したがって、その審査が公正でない場合は出品料は詐取されたと判断さるべきるものである。
◎上記である場合、傘下団体以外の出品当事者はその不法行為に関し民事上の損害賠償請求の訴えの利益を有する者と判断する。これは出品料、搬入出料、借り額代等実費に加え、信義則違背に係る「精神的苦痛」に対する慰謝料の請求権である。
◎少なくても日展においては「過去」についての事実関係を明らかにし、必要な謝罪と責任の所在を明らかにすべきである。供に為されずして将来の問題にのみ話を向けることは許されない。
◎公益法人として以下の要件総てに完全に抵触すると判断する。これも過去の問題についてのけじめをつけるべき。場合によっては担当行政庁は認可を取り消すべきである。
≪ 公益法人の設立許可及び指導監督基準
1.目的
公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければな
らず、次のようなものは、公益法人として適当でない。
(1) 同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの
(2) 特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主
たる目的とするもの
(3) 後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの ≫
1.目的
公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければな
らず、次のようなものは、公益法人として適当でない。
(1) 同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの
(2) 特定団体の構成員又は特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主
たる目的とするもの
(3) 後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの ≫
◎これらのことが曖昧なままの場合、「日展・各団体の会員、入選」等の画歴は社会的信頼を失い、結果当該団体内部の個々の作家自身が不利益を受けることとなろう。