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梅雨の晴れ間の暑い日、「バルビゾン」の同志で「どうしたらうまくかけるの」のトピ主white orionさんと近くの公園へスケッチへ出かけた。
 23区でも稀な武蔵野の面影を残した野趣ある公園で、それこそ何百回と来てるがいつでも描けるし、近すぎるという思いから、ここを描いたものは少なく、久しぶりにイーゼルを立てた。
 途中、他に絵を描く人の絵をちょっと覗いたり、『かわせみ』飛来待ちの高級望遠カメラの長い放列を過ぎ、午後1時前から、然るべき場所を選定し、夕方過ぎで暗くなってもう無理というとこまで、途中差し入れの昼食をはさみ、時間を忘れ奮闘した。
 緑一色の描きにくい季節であるが、そこはそれ、逆に緑のヴァリエーションで特別な雰囲気作りは出来る。orionさんは油彩、私はアクリルガッシュで、供に二点づつ描いた。私の場合はこれを油彩で仕上げる。

 折りしも昨日の「美の巨人たち」はコロー。彼は長い期間にわたり森と対峙し、その現場主義から習得した造形技術と醸成された詩情を基礎として、当時出始めの、写真の露光時間の落差から来る「ボケ」から触発され、独自の、煙のようなグラデーション、逆光の透かし効果、「銀灰色」と呼ばれる色彩等で、十分な有色下地の仕込みと描き重ねをベースに、独自のイマジネーション風景画へと展開させた。
 勿論コローを追っても「コロー」にしかならないので当然「自分の絵」を心がけるが、この取材のスケッチは、そうしたイマジネーション風景画への展化への可能性としては十分な手応えを感じたものとなった。

 抑えるべき「情報」は、現場の構造と構成、陰影の対比、全体のグラデーション、雰囲気、地面の木漏れ日、木道や枝の有り様等である。自然のヴァルールは時間を追って変化するのでそうしたことの早めの把握を心がける。ディテールまでの描写は無理。アクリルガッシュは当然油彩のような伸びやかさやコクはないし、透明水彩の味わいもない、アクリル絵具とポスターカラーを合わせたようなテラテラした軽薄な素材なので、その後一応の納得行くまで加筆した。

 「いいもんだな、外で描くのは」、「健康的でいい時間をすごした」、「また来ようという」話で荷物を片付けたのは6時近くになっていた。