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Ψ筆者作「アトリエの≪住人≫たち」 油彩 F80(部分)

 通常「絵が描かれる物質」は紙、木、布、石や漆喰などの壁画材であるが、これを「基底材」とか「支持体」とか言う。
 この「支持体」の概念の中に普通は「キャンバス」も含まれる。このキャンバスは一応「直ちに絵が描ける状態」である。紙も同様。ところが「木」はそうはでない。
 木(板)は油彩以前の支持体として広く使われ、その存在は美術史上欠くことのできない。モナリザも元々は板絵であり、多くの古典絵画が木に描かれた。
 その木を「直ちに絵が描ける状態」にするには何某かの下準備が必要である。これは今日の合板パネルも同じで、紙の「水貼り」はその下準備の一例。それは「直ちに絵が描ける状態」ではない麻布(生キャンバス)も同様である。この下準備を「下地作り」としたら、それは概ね以下の三方法である。
〔?地(非吸収地)
⊃綫地(吸収地)
エマルジョン地(半吸収地)
 一般に言う「キャンバス」とはこうした「下地作り」を経た上記 銑のどれかなので、キャンバスを支持体と呼び、かつその「支持体」に次元を合わせるなら「下地作り」も「支持体」に含まれるはず。

 ところがこれが曖昧なので、混乱する場合がある。もし、そうした下地作りを施したものを支持体というなら、「直ちに絵が描ける状態」ではない原初的な木や麻布は支持体とは呼べないし、これを支持体と呼ぶならそれ以降のものは「下地体」と呼ぶべきだろう。
 さらに厄介なことには、上記 銑の作業に伴う「体質顔料+白色顔料+メデューウム」の塗布剤を塗ることそのものを「地塗り」と言う場合がある。
 もしその段階を「地塗り」と言うなら市販キャンバスは既に「地塗り」が済んでいることとなるし、本来の「地塗り」である、描画層の下層に絵の具を仕込んでおくというような状態はなんと呼ぶべきか?!あるいは市販キャンバスの上にさらに油性ジェッソなどを施す場合は?
 これらを整理すると以下になる。
仝興蘚支持体
∋抻?
2蔀和痢崢召舛乏┐描ける状態」
っ賄病痢壁漸莨紊慮擎未魑擇椶垢發痢

 つまり、それぞれの意義を厳密に次元を一致させようとすると非常に混乱を来たすことになり、ここは漠然と常識的に判断する以外にない。

(つづく)