いい変えると大作が描けないと一人前の絵描きとは言えない、ということを自分に言い聞かせてきた。
しかしいざ描いて見ると難しい。中作程度までの描き方とはまた違った描き方を要する。今までうまくいってたのに、そのスケールについていけない。自分の力量不足を痛感させられたりする。
ところが面白いことに、大作で公募展や団体展などで「大活躍」していた画家が小さいのを描かせるとまるでダメという話をしばしば聞く。これもわかる気がする。
要するに「~向け」というのはダメなのだ。自分の一貫した画法がどんなスケールに無理なく適応されなければならない。大作に負けるもんか!と肩に力が入りすぎても成功しない。
その意味でも絵画は難しい。大作を描くにあたってはいつもそんなことを考えてきた。
ところで先日美術誌の人と会った際、この場所の話が出てそこのことを知っていた。G展の時も「ここはどこですか?」と何人かに聞かれた。ボッーとするような暑い夏、重い荷物を背負い、やっとたどり着いて、涼しい風や鳥の声を聞きながらホッとした時間を思い出す。風景画冥利だ。どうしても大作でなければならないというモティーフもある。