今般50号以上の作品専門の書庫を設けた。そもそも絵画というのはどのくらいのスケールからを言うのであろうか?公募団体展などでは10号、20号などは絵の扱いがされない。その人の力量や造形世界は100号以上の、一定の大きさを持って判断対象とする。しかしこれは、例えば狭いアパートに住む苦学画学生とかには過酷な現実の桎梏となる。キャンバスを張るだけでも、いや出し入れとか「離れて見る」という描画の上でも大変なことだ。搬入出や借り額などを加えると大変な費用も要する。それでも一瞥一瞬にして落とされたりする。
一方、古典絵画は精緻な絵作りが求められるので時間もかかるし、その分画面も小さくてよいはずだが、どっこい本邦の団体展など比較にならないほどの巨大な画面が多い。
つまり、いずれにしろ自己の絵画世界の「勝負の場」としては一定の大きさが求められるということだろう。その意味では前述の現実的事情など言い訳にならない。