同部分
今回の個展は会場の広さに応えるものとするため60余点程の展示を必要とした。勢いそれはここ一、二年の作品で済まず、10年以内、かなり前のも展示した。作品傾向の一貫性という意味では自分では「緑の追究」とか独自の「筆遣い」で繋がりがあるつもりでいるが、外部からは多少ズレあるものとして映じたものもあるかもしれない。
常々「将来リアリズム表現をベースとしたイマジネーションの画境を目指したい」と言ってきた。上掲作品他三点ほどそういう意味ではその方向性にあるものであるが、他作品とは一応別枠とすべきものであろう。
ところが実はこの作品、問い合わせが一番多かった。5~6人ほどからあった。その趣旨は「これは何処ですか?」、「世界遺産の何かですか?」「行って見たいので教えてください」…というものである。今までの風景画が現実にある場所を描いたものばかりなので無理もない。
こういうところが本当にあったら私が一番行ってみたい!
これはイマジネーションによる風景である。「バベルの塔」のような宗教的意味もない。ただ技術的には総て従来の風景画の画法を踏襲している。建物も例えばブルガリアにある「アレキサンダーネフスキー寺院」などをモデルに採用している。こういう景色が大宇宙のどこかにあって欲しいという願望である。
ところでこのブログの表題である「ソラリスの青い海」とはタルコフスキー監督の映画「惑星ソラリス」からとっている。ソラリスという星にある海は人間のイマジネーションを具現化してしまう。「イマジネーションの具現化」、これこそ絵画というものの至上の機能であり生命であると考えている。思うにどんなリアリズム絵画もノスタルジーや何某かのイマジネーションをそそるものでなければ名画とはいえないのではないか?泰西名画もいいものは何処か懐かしいとか行ってみたいとか思うものだ。
私もソラリスの海にあやかりたいと思っているのである。
(個展関係終わり)