Ψ 上シャルトル大聖堂のステンドグラス(筆者撮影)
下コロー作「シャルトル大聖堂」
ノートルダム(Notre-Dame )とは「我々の最高の女性、貴婦人」と言う意味で聖母マリアのことを指した言葉。ある教会を特定した名称ではなくその名が冠せられている教会はいくつかある。佐伯祐三はシテ島のとマントラジョリのノートルダムを描いている。モネの有名な光を追ったシリーズはルワンの大聖堂これもノートルダムだ。他にフランスではランスのノートルダムが有名。
前掲(上掲コロー作品)はシャルトル、イ魯僖蝓▲轡禿腓砲△蟠,法屮痢璽肇襯瀬狢臉仔押廚任△襦
のステンドグラスは有名。特にその青は「シャルトルブルー」とよばれその色を出す事は今日至難と言われている。特に「不可能の代名詞」青バラに関係する我身としては切に憧憬するものがある。
面白いのはの正面尖塔である。左がゴシック、右がロマネスク様式。この非対称は他にあまり例を知らない。
シテ島のノートルダムのバラ窓のステンドグラスも圧巻。ここはヴィクトル・ユーゴの「ノートルダムのせ〇し男」の舞台。鐘突き男カジモドがジプシー娘のエスメラルダに恋をする話。親戚筋のバレエ団がこの公演をよくするが最近のそういうパンフレット類の表題は「ノートルダム・ド・パリ」となっている。差別用語への配慮だ。高村光太郎の「雨に打たるるカテドラル」もここ。
薄暗い教会内部に「カジモド」を探したがいなかった。
い離▲譽サンダー・ネフスキーはブルガリアの首都ソフィアにある。丸い金色のドームを戴くビザンチン様式の代表格である。ゴシックの天に向かって突き刺すような尖塔が「形」で神の国、天国を暗示しているとすれば、東方正教会は金色と言う「色」でそれを示しているといえよう。この教会の地下に納められているイコン群は圧巻。10年程前にその一部とサントリー美術館で再会した。
そのイコンにはふんだんに金箔が使われている。金色と言うのは光の当り具合で反射したり吸収したりして物質でありながら非物質的な輝きと高貴さを持つ空間を展開させる。
因みに東京御茶ノ水にあるニコライ堂は東方正教会系で建築様式もこの系列である。
このように教会の建築様式も時代や場所に応じて様々あるが、特記すべきはバルセロナの「聖家族教会(サグラダ・ファミリア)」だろう。これは周知のごとく着工後100年超を経ても未だに何分の一しか完成してないといわれている。アールヌーボー風にも見えないこともないが「ガウディー様式」と言うべき建築家の個性を感じる。
戦争や内戦、資金の集り具合など現実的問題はあったにしても、私はその鷹揚で完成を急がない流れ自体に、宗教や芸術など人間の精神生活に関わるものとは、「時代に間に合わせる」必要はないんだよ、というメッセージを感じる。
生産性や機能性優先の土建屋国家の無味乾燥な建築には「アネハ様式」は必然だろう。