筆者作「麗しき宵」F30 油彩

今年もまた蕗の薹が顔を出す季節がきた。葡萄棚は芽を吹き、やがて八重桜が満開となるだろう。メジロだろうか緑色の小鳥が見え隠れする。嗚呼春が来たのだと、微かに心騒ぐ。
遥か彼方の宇宙では誰にも知られることなく、光速を超えるスピードで宇宙が膨張を続け、赤色矮星が崩壊し、超新星爆発でブラックホールが生まれ、星の内部で核融合が起こり、星や銀河が衝突し、フレアやガスや諸物質が巨大な規模で宇宙空間に放出されるなど、想像を絶する大騒動が起こっているだろう。億光年、兆、京、該の世界だ。
その宇宙と我が家の庭のささやかな自然との間にある「人の世」にはもうまるで興味が無くなった。また友人が一人死んだ。我と愛猫の寿命は最早同時進行に感じる。宇宙には一握りの天才以外手がつけられない。「♪〜恨みますまいこの世のことは、しかけ花火に似た命⋯」
かくして庭の自然と絵を描くことだけが現実。