豪華な王宮の広間に、一人の美しい白猫の姫が立っていました。彼女の名は、ダルシネア。
​かつての素朴な旅装束を脱ぎ捨て、今や彼女は金色の刺繍が施された高貴な赤紫色のドレスに身を包んでいます。ピンク色のボンネットには宝石がきらめき、その下で輝く瞳は希望に満ちていました。

​始まりの舞踏会

​今日は、隣国から多くの貴賓を招いた特別な舞踏会の日です。広間には重厚な甲冑が並び、美しいタペストリーが壁を飾っています。背後には豪華な玉座が構えられ、王宮の威厳を象徴していました。
​ダルシネアは少し緊張しながらも、誇り高く胸を張りました。彼女はただの着飾ったお姫様ではありません。かつて剣士ガトたちと共に冒険を繰り広げた、勇気ある心を持った姫なのです。
​広間の様子: 舞踏会の準備が整い、招待客たちが集まり始めています。
​ダルシネアの役割: 彼女は平和の象徴として、国々の懸け橋となることを誓っていました。

​予期せぬ挑戦

​音楽が始まり、ダルシネアが最初の一歩を踏み出そうとしたその時、窓から冷たい風が吹き込みました。影の中から、かつての冒険で出会った宿敵の気配が漂います。
​しかし、今の彼女には守るべき民がいます。ダルシネアは傍らに置かれたティアラを手に取り、優雅に、かつ力強く微笑みました。
​「ドレスは重くても、私の心はあの頃のまま。自由で、そして強くありたいのです。

予期せぬ乱入者

​音楽が始まり、ダルシネアが最初の一歩を踏み出そうとしたその時、広間の大扉が乱暴に開け放たれました。
​現れたのは、剣士ではなく、赤いスウェット上下に身を包んだ、生意気そうな人間の少年でした。ボサボサの茶髪に、不敵な笑みを浮かべた彼は、片手をポケットに突っ込み、もう片方の手を気安く振っています。
​「へえ、ここが新しい『戦場』か?まあまあ悪くない」
​少年のこめかみの辺りでは、彼自身の自信を象徴するかのように、黄色い星がキラリと輝いていました。
​彼の名は、藤堂護(とうどう まもる)。この中世の王宮にはあまりにも不釣り合いな、現代からやってきた問題児でした。

​新たな関係の始まり

予期せぬ乱入者に、王宮内は騒然となりました。しかし、ダルシネアは落ち着いて彼に歩み寄りました。
​「おかしな格好をされていますね。あなたは…どちら様ですか?」
「私か?藤堂護だ。よろしく、お姫様」
​護は悪びれる様子もなく、そのまま王宮の中心へと歩を進めます。彼の登場により、王宮の平和な空気は一変し、新たな嵐の予感が漂い始めました。

​絆の拒絶

​藤堂護は、手にしたチェスの駒を弄ぶように笑いながら言い放ちました。
「賢い選択をしろ、お姫様。俺に従えば、この国はもっと効率的に、俺の思うがままに豊かになる。あんたにその覚悟があるならな。」
​しかし、ダルシネアの瞳には迷いはありませんでした。彼女はドレスの裾を揺らしながら、一歩前へ踏み出します。
​「藤堂さん、あなたの言う『支配』には、一番大切なものが欠けています。私には、共に笑い、共に歩むかけがえのない仲間たちがいるのです。」
​スペイン村の仲間たち
​彼女の脳裏に浮かぶのは、志摩スペイン村で待つ賑やかな仲間たちの顔でした。
​ドン・キホーテ: どんな時も騎士道を忘れず、正義を貫く頼もしいリーダー。
​チョッキー: いたずら好きで、いつも場を明るくしてくれる大切な友人。
​フリオ: 温厚で包容力があり、みんなを支えてくれる優しい仲間。
​彼女たちが紡いできた時間は、護の説く「効率」や「支配」などでは決して測れない重みがありました。
​意外な援軍「くにおくん」
​さらに、ダルシネアは護の背後に視線を向け、きっぱりと言い切ります。
​「それに、ここにはあなたの思い通りにならない人だっています。くにおくん達だって、あなたのやり方に黙って従うはずがありません!」
​熱血硬派なアイツらが、護の野望を黙って見過ごすはずがない——。
その言葉に、流石の護も一瞬だけ苦々しい表情を浮かべました。彼にとって「くにお」という存在は、常に自分の計画を力技でぶち壊しに来る最大の計算違いだったからです。




​くにおへの嫌悪感

​特に「くにお」の名を出されたことは、護のプライドを大きく逆なでしたようです。彼はダルシネアを指差し、一段と低い声で反論を続けます。
​「特にあの単細胞の『くにお』だ……!あのアタマまで筋肉でできたような野郎の名前を、この俺の前で出すんじゃねぇ。アイツはただ、力任せに俺の完璧な計画を引っかき回すだけの害悪なんだよ。効率も、秩序も、美学もねぇ。あんな野郎が仲間にいることが、あんたの限界なんだよ。」


冷徹な宣告

​護は一歩、また一歩とダルシネアに詰め寄り、彼女の顔を覗き込むようにして言い放ちました。
​「スペイン村だか何だか知らねぇが、そんな小さなコミュニティの『仲良しごっこ』が、俺が作り上げる冷峰の秩序に勝てるとでも本気で思ってるのか?……いいだろう。そこまで言うなら、あんたの大事な仲間ごと、俺のやり方で完膚なきまでに叩き潰してやる。その時、泣いて俺に縋ってももう遅いぞ。」

正義の騎士、見参!

​「案ずるな、ダルシネア! このドン・キホーテ、ただいま参上した!」
​けたたましい足音と共に現れたのは、誇り高き騎士、ドン・キホーテでした。彼は愛用の槍を堂々と構え、ダルシネアを庇うようにして藤堂護の前に立ちはだかります。その後ろからは、息を切らせながらも必死についてきたチョッキーとフリオの姿もありました。
​「フン、悪巧みの匂いがすると思えば……。貴殿のような礼節を欠く若輩者が、我らが姫君に無礼を働くとは。この槍が黙ってはおらぬぞ!」
​護の冷ややかな反応
​現れた「騎士」の姿を、護は心底退屈そうに一瞥します。
​「ハッ、時代錯誤なコスプレ野郎が。槍だの騎士道だの、そんな化石みたいなものが現代の……いや、俺の支配に通用すると思ってんのか?」
​護は苛立ちを隠さず、鼻を鳴らします。
​「ダルシネア、これが、あんたが誇っていた『仲間』か? 笑わせるな。こんな古い価値観に縛られた連中と傷を舐め合って、何が守れるってんだ。」

​揺るがない絆

​ドン・キホーテは、護の嘲笑を真っ向から受け流し、高らかに宣言しました。
​「効率だの支配だの、そんな冷たい言葉で人の心は動かせぬ! 護殿、貴殿がどれほど知略に優れていようとも、我らスペイン村の仲間たちが持つ『情熱』と『絆』の盾を突き崩すことはできん!」
​苛立つ護と、揺るがない騎士
​護は、ジャージの袖を捲り上げながら、吐き捨てるように言い返します。
​「……あぁ、うるせぇ! どいつもこいつも『心』だの『勇気』だの。そんなもんが、俺の築き上げた冷峰の秩序より価値があるってのか? 時代遅れの妄想に付き合ってる暇はねぇんだよ!」
​護が指をパチンと鳴らそうとしたその瞬間、ドン・キホーテはさらに声を張り上げ、その動きを制しました。
​「妄想ではない、これこそが現実だ! 見よ、このダルシネアの瞳を! 恐怖ではなく、信じる心で輝いているではないか。貴殿がどれほど策を弄そうとも、この『正義』の炎を消すことはできぬ!」

​仲間たちの合流

​ドン・キホーテの背後で、チョッキーとフリオも覚悟を決めた表情で頷きます。
​「そうだよ! 護、君の思い通りにはさせない!」
「僕たちの友情は、君の計算には入っていないみたいだね。」


​衝撃の暴露

​「ハッ……いいぜ。そこまで『絆』とやらを信じるなら、見ているがいい! おめでたい騎士サマたちに、あんたの『聖女』の化けの皮を剥いでやるよ!」
​護は出口に向かって歩き出しながら、肩越しに冷酷な視線をダルシネアに投げかけました。
​「おい、ドン・キホーテ。あんたの隣にいるその女……ダルシネアが、かつて俺の冷峰学園にいたことを知ってるか? しかも、ただの生徒じゃねぇ。俺の右腕として、恐怖と規則で生徒を縛り上げた**『風紀委員会の会長』**だったんだよ!」
​広間に戦慄が走ります。優雅な姫君であるはずのダルシネアが、あの冷徹な学園の執行機関のトップだったという事実に、チョッキーやフリオも言葉を失いました。

​捨て台詞

​護は大扉に手をかけ、最後に吐き捨てるように言いました。
​「あんたの過去は消せねぇ。その綺麗なドレスの下には、冷酷な風紀委員長としての黒い履歴が刻まれてるんだ。……いずれ、その『仲間』たちが、あんたの過去を知ってどう変わるか楽しみだぜ。精々、今のうちに仲良しごっこを楽しんでおくんだな!」
​護は高笑いを残し、嵐のように王宮から去っていきました。
​静まり返った広間。ドン・キホーテたちは驚きのあまり動けず、ダルシネアは青ざめた顔で俯いています。




とりあえず、これで第1話は終わりします。

第2話は次回にアップ致します。

【3月4日22:25追記】
📢 第2話投稿中止のお知らせ
​期待させて悪ぃんだが、諸般の事情により第2話の公開を中止することになっちまった。
「次こそダルシネアがどうなるんだ!?」ってワクワクしてたやつらには、本当に申し訳ねぇと思ってる。楽しみにしてた時間を奪っちまって、本当にすまねぇ。