『トイレット』(映画) | RIVERのブログ

『トイレット』(映画)



グラフィックアーツ業界に多くの人材を輩出している千葉大学 工学部

画像工学科を卒業後南カリフォルニア大学映画科で映画制作を学んだ

荻上 直子監督が長年持ち続けてきた北米での映画制作の夢を実現

させた映画「トイレット」



本作は、美しい街トロント郊外の住宅地を舞台に、父は既に死亡し、

女手一つで育ててくれていた最愛の母を亡くしたばかりの兄妹三人が、

母が死の直前に日本から呼び寄せた“ばーちゃん”と一緒に暮らす

日々の中で、バラバラだった三人が兄弟愛、

そして自分の本来の姿を取り戻していくという物語である。



本作の舞台はトロントのカナダ人家族の家であり、

演技する俳優達もばーちゃんを演じたもたいまさこ以外は

荻上 直子監督が主にオーディションで選んだ北米の俳優達で

制作した映画であるが、端正な画像と、その静寂さに

わび・さび侘・寂)も感じる、松竹大船映画の伝統を

強く感じる作品であった。



本作の原題となっている日本のハイテクの象徴“全自動トイレット”、

博物館の骨董品ともいえるような“シンガーの足踏みミシン”から

縫い出される美しいパターンのスカート、

そして実物以上に美味しそうに写し出される母の味ギョーザ゙、

これらの目に見えるものを象徴として、

心豊かな充足感、そして美しいフォルムが全篇を支配する本作、

その考えぬかれた映像は美しかった。



“センセイ”と呼ばれるアメリカンショートヘア系の母の愛猫の

自由自在な“演技”も本作のみどころである。



ヒトを描くことをライフワークとしていたフランソワトリュフォーが遺した低予算の

作品群には“フランス文化”を色濃く感じるが、同じく一人一人の

人間を描くことを作品のテーマとしている荻上直子監督の作品に

“日本文化”を強く感じる。



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