わが教え子、ヒトラー | RIVERのブログ

わが教え子、ヒトラー


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いつまでも心に残るドイツ映画は多いが、

冷戦時代のベルリンで、反政府活動摘発の為、ある芸術家の部屋を

極秘で盗聴していた東ドイツ国家保安省職員が、

耳にあてたイヤホンから流れるピアノソナタを象徴とする

“自由な心”に激しく心を揺さぶられ、人生を変えていく

「善き人のためのソナタ」もその作品の一つ。


「マーサの幸せのレシピ」で悩める女性シェフを演じた

ドイツを代表する女優マルティナ・ケディックと共に、

主人公のヴィースラー大尉を演じたウルリッヒ・ミューエの演技が

この作品の価値を高めていた。


「わが教え子、ヒトラー」はウルリッヒ・ミューエが

2007年にガンで亡くなる前に撮影された遺作とも言える作品。


ヒトラーを描く事には今でも数々のタブーがあるドイツ、

ユダヤ人であるダニー・レヴィ監督はこの作品で

敢えてヒトラーを“笑いの種”にして

この映画にコミックな味付けをしているが、

コミックの裏側の人間の悲哀・苦悩・狡猾さを

ヒトラーに演技を教える収容所から戻されたユダヤ人演劇家

としてウルリッヒ・ミューエが本作でも

見事に演じきっていた。


ダニー・レヴィ監督は

「コメディーは既成概念を破れるし、政治的正当性に

縛られず、自由な表現が許される」

として“独裁者”ヒットラーの個人的側面を強調してみせる。


ドイツ語のサブタイトルは

「アドルフ・ヒトラーに関するまさしく本当の真実」

ヒットラーを演じたヘルゲ・シュナイダーの演技があまりにも

巧みで、笑いなしには見られない作品であるが、

雲の上の総督官邸執務室で行われていた出来事を

批判をいとわない別の切り口から描いてみせた

権力とは無関係に、個人の資質を問い質した作品。


これからはウルリッヒ・ミューエの名演技が

見られないのが残念である。



善き人のためのソナタ


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