原作ビクトルユゴーの小説、レ・ミゼラブル


ひとによって、この作品ほど、作品から得る価値にバラツキがでる作品も珍しいと思う


宗教、法律、社会構造、革命、親と子、恋、そしてそれら全てを横串で、『愛』


何が正しさで、何が正義なのか 正義や正しさが、いつの時代でも、多数決でも絶対的ではなく、その場、その都度、その環境で変わり得る相対的なもの


自分自身で見つけ、自分自身で解釈し、自分自身の意志で信じていく、そんな、人として生きる上でいずれ向き合う課題を、非常に上手く物語を使って説いている作品だと思う


レ・ミゼラブルはイギリスのロンドン、west endの劇場は発祥で、様々なら国で上演されている


映画では、ラミンがアンジョルラスで、ポーのジャンバルジャンで、これはこれで素晴らしかったが、ロンドンで観たキャストは、流石オーディションで選び抜かれたキャストで、間違いなく安定してミュージカル好きならばおすすめできる


これまで幾多の海外・国内ミュージカル、ストレートプレイ、宝塚、四季、東宝と観てきた中で、ロンドンで観たレ・ミゼラブル、米国ブロードウェイのキャッツ、オフブロードウェイのsleep no more、ジャージー・ボーイズ、赤坂アクトシアターで観たレント(米国のキャスト)は、別格だった


また、日本の作品で衝撃を受けた作品は、中川晃教初演のモーツァルト、これは中川さんの歌唱力が段違いに飛び抜けており、生で鑑賞した時に、歌声が自分の骨まで響くほど鳥肌が立った事を覚えている


宝塚では、数限りない素晴らしい作品があるが、作品としてずば抜けて出会えて良かったと思ったのは、水さんのカラマーゾフの兄弟


人民の為に働きかける革命家と、世間を離れて生きる牧師 人民の為と革命を企てるものの、その守ろう、助けようとしている人民に、目の前で家庭を踏み躙られ、そもそもこの人民・国民は守るべき対象なのか否かという命題に苦難する革命家


一方、世間から離れて、清廉潔白に生きてきた牧師も、その願いや想いだけでは救えない、目の前で起きる社会や家族の破綻に、牧師の立場では無く、俗世に身を寄せていく事になる


ロシア文学特有の、社会主義の暗い雰囲気をベースに、伝えたいことがはっきりとした作品だった


小説、ミュージカル、ドラマ、演劇、ゲーム、アニメ、漫画、その為の、表現するもの全てに言える事だが、小説やミュージカル等は道具で、最も作品で大切な事は、何を伝えたいか、に尽きると思う


伝えたい事からスタートして、その最も伝えられる手法に小説やミュージカル等を選び、最大限に説得力を持たせる


ひととして生きる中で、様々な素晴らしい作品に触れられた事は、本当に幸せに思っている


余談 ニューヨークの野外映画館 ホテルの屋上 39スト6アベ