愛しい3の日を君に贈る -20ページ目

愛しい3の日を君に贈る

この人生を命ある限り届けたい。

小学校高学年に近くなると異性も意識し始める年齢だ


兄弟は、全く正反対のタイプの兄と弟に恵まれたから

「男というのは、こんなものよね。」

と言う意識は自然とできていた


兄弟に挟まれて育った女子力は全く育たなかった

生まれた時から男の子が遊ぶものに溢れいていたし

読み物も少年ジャンプが面白かった


クラスが高学年になると

特にイベント前は世間と同じように

子供の世界でも同じで

恋沙汰の話になる


元々、そんなに興味は無かったし

ドキドキするタイプでも無かった

クラスメイトの話に合わせて

「誰かを好きにならなければいけない」

なんていう妙な感情がどこかしら靡いてくる


すぐに流されてしまう性分は、昔も今も殆ど変わらないのかも知れない


そうして

“本命?“チョコを人生で初めて作ることになった


私は、食べることが専門で作ったことは勿論無い

「お母さん、バレンタインチョコをあげたい子がいるから作りたい」

なんて堂々と言えるタイプでも無かった

好きな子がいるなんてことを親にバレるくらいなら作らない


「自分とお父さんに。」と言う完全な建前は、きっとお母さんにはお見通しだったはず

とりあえず、材料をそっと置いてどう作るのかは私に託された


作り方なんて到底知らない。


鍋にチョコを入れて

「焼いた」


…?


こ…焦げて…いる。

完全に。


チョコレートの溶かし方を

知らない私は、完全に火をかければとろっと溶けて型にジャーっと流し込んだら完成すると思っていた



パクっ


完全に焦げ臭い苦めの淡い

バレンタインチョコの完成



学校近くのその子の家までドキドキしながら

呼びに行く…


玄関から好きなのだと思う子が出てきて渡すのだけれど

好きだから緊張するのではなくて

そのシュチュエーションに緊張してしまっていた


両手に大切に乗せて私はチョコを突き出した


そうして…

そのチョコを手にとった直後

一秒も経たない間に

「めるちゃんのが欲しい。」


その男の子が求めたのは、隣に同席した

めるちゃん…

そう、私の親友だ。


心が壊れる音は聞こえないが

大切にしてきた思いは微塵もなくその瞬間に消えた


涙すら出ずに唖然…


この日以来、 この子を好きになることに抵抗が生じたのも事実かも知れない

それでも、いつだって経験は大切な糧になる


そうやって

私の淡い思い出は、苦いチョコレートと共に終わっていった



そうそう

男の子の手に渡ったのは、とってもあまーいチョコレート。それも完璧な。


本命チョコの行方は、もちろん本命に

大好きなお父さんと一緒に食べました