愛しい3の日を君に贈る -16ページ目

愛しい3の日を君に贈る

この人生を命ある限り届けたい。

小学校に入った頃だっただろうか

いつから通い始めたかは定かでない


自宅から約15分

地区の子供らは、決まってその算盤塾に通う。


隣町のお地蔵さんのお堂の横にある

ほんの小さな小屋の一部屋



何故か朝の病院のような風習があった
“早く行くこと“

学校が終わればもうダッシュ
休日は、毎朝5時起き

とにかく“1番“に入室ができるよう地蔵さんの横をかけぬけて走る。

遅れれば遅れるほど待たされるからそうならないように。

だからいつも席は争奪戦。


そうして小学四年生の頃だっただろうか

妙なあだ名が自分につけられた


自分の完全な思い込みと言い間違いが発端だ

きっかけは、ほんの些細なことだった

自分の氏名は違う言い方で読むことができたことを口にしたのだけれど

その一言からその爺さん先生に毎週言われるようになり、それを聞いている同級生に浸透していく。


子供は妙な名前こそ吸収が早く

ただ、『面白い』と言う理由にクラス中に浸透してしまう。


小学校を卒業すれば…

何て甘い考えをすり抜けてあだ名は、全員では無いものの中学校でも特に男子の同級生から他の友達が影響される始末だ。


未だにそう呼ばれると虫唾が走る。 

自分の質問が地雷になるとは…思いもしなかった。


そんな中でも算盤はしなきゃいけない。

『ゴアサンでネガイマシテハ…』

当初意味も分からないまま…あの水泳の時の号令のように…トクトクトクと鼓動を聴きながら数字を相手に算盤を指先でジャと美しい速さで一列にそろえてゆく。

級を経るごとに算盤に資格級のシールを貼る。


ある時、算盤の大会

自分だけが入賞出来ずにいたことがあった。

そんなことはいつだって起こりうるのだけれど

大会に一緒にいた皆が何らかに入賞していた

みんなは、自分に遠慮しつつ会話を通しても気遣ってくれる優しさを噛み締めていた。


そんな中

ヒトリだけトロフィーを掲げながら歓喜の声が聞こえて来る


『これみてぇ!やったぁ。』

『!?』


そう…名ばかりの親友。

彼女だけは、皆と違った。

何より私よりも良ければ良い勝手なライバル心を抱かれていた。

『私だけには負けずに勝つ』ことが彼女のプライドになっていた。


自分の心は成熟していなかったことが

相手に対して場を読めない怒りに代わり

『静かにしてよ。』

と感情をぶつけてしまった


どうしてこの子はいつも私に対してあからさまなんだろうか。

そんな疑問をぐしゃっと心のなかで丸めて捨てた。