彼らの不安を和らげるべく、一人ひとりに合った方法を模索する毎日だ。
一日中不安で、誰かが通りかかるたびに後ろについていくAさん。
好きなだけ歩かせてあげたいところだが、転倒の危険があるため、職員が離れるときは落ち着いて座ってもらわなければならない。
そんなとき、絵本を渡すと、Aさんは「これ読むか?」と興味を示す。
職員が笑顔で頷くと、次々ページをめくり始める。
ふだん、「おしっこ」「ねる」「行こう」しか発しないAさんが、ひらがなの文章を読み始める。
何度も何度も読み返す。すごい集中力だ。
物語の終盤の、
「ずっと、いっしょにいてあげる。」というセリフが気に入ったようで、照れ笑いの表情で読み上げてくれた。
今夜はそのまま、穏やかに就寝。
絵本の言葉がAさんの心に響き、安らぎを与えたのかもしれない。

