カレー連邦軍、並びにラーメン公国の戦士に告ぐ。我々はデラーズ・フリート!
所謂一年戦争と呼ばれた、ラーメン独立戦争の終戦協定が偽りのものであることは、誰の目にも明らかである!何故ならば、協定は『ラーメン共和国』の名を騙る売国奴によって結ばれたからだ。我々は些かも戦いの目的を見失ってはいない。それは、間もなく実証されるであろう。
我々は日々思い続けた。ラーメン定食の自治権確立を信じ、戦いの業火に焼かれていった者達の事を。そして今また、敢えてその火中に飛び入らんとする若者の事を。
私は、
しょうゆが好きだ
みそが好きだ
とんこつが好きだ
塩が好きだ
魚介系が好きだ
付け麺が好きだ
四川風が好きだ
担々麺が好きだ
北海道で 津軽で
博多で 横浜で
神戸で 大阪で
京都で 尾道で
徳島で 和歌山で
熊本で 鹿児島で
高山で 次郎で
我が祖国で作られる ありとあらゆるラーメンが大好きだ
戦列をならべたチャーシューの一斉発射が 轟音と共に舌鼓を打つのが好きだ
油を多くふくんだ焼き豚が 口の中でとろける時など心が躍る
どんぶりの端に添えられた海苔に スープにしみこむのが好きだ
ラーメンに巻いて食べてみた結果 一風変わった味付けになった時など胸がすくような気持ちだった
計算された量のニンニクの味が えもいわれる美味を生み出すのが好きだ
口の中を蹂躙しながらうまみを引き出す 絶妙なるハーモニーには感動すら覚える
給料日に好きな具をふんだんに頼み 思うがままに蹂躙するのなどもうたまらない
並び立った至高の具達が 私の降り下ろした箸とともに舌へと運ばれるのも最高だ
煮玉子がスープの上で健気にも抵抗しながらも やがて箸につかまれ
口の中でそのとろける黄身が 舌とスープによって蹂躙されるなど絶頂すら覚える
特盛りチャーシュー増し増しに 財布の中を蹂躙されるのが好きだ
必死に守るはずだった生活費が ラーメン費に食らいつくされていくのはとてもとても悲しいものだ
背脂の物量に押され 刻一刻と太っていくのが好きだ
心配するおふくろに追い回され 豚になるから走れと懇願されるのは屈辱の極みだ
諸君 私はラーメンを 天国の様なラーメンを望んでいる
諸君 私に付き従うラーメン戦友諸君
君達は一体 何を望んでいる?
更なるラーメンを望むか?
情け容赦のない 究極のラーメンを望むか?
麺風雷汁の限りを尽くし 三千世界のカレーを殺す 嵐の様なラーメンを望むか?
〔オーディエンス〕
「 ラーメン!! ラーメン!! ラーメン!! 」
よろしい ならばラーメンだ
我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
だがこの暗い闇の底で3年もの間 堪え続けてきた我々に ただのラーメンでは もはや足りない!!
大ラーメンを!! 一心不乱の大ラーメンを!!
我らはわずかに一個小隊 4人に満たぬ隠遁者にすぎない
だが諸君は 万夫不倒の古強者だと私は信仰している
ならば我らは 諸君と私で総兵力3万で1人の麺集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし 眼を開けさせ思い出させよう
連中にラーメンの味を思い出させてやる
連中に麺をすする甘美な音を思い出させてやる
天と地のはざまには 奴らカレー主義者では思いもよらない事があることを思い出させてやる
3人のラーメン主義者の戦闘団で
カレー界を燃やし尽くしてやる
「最後のラーメン隊 小隊指揮官より全ラーメン主義者へ」
第二次 ブリティッシュ作戦
状況を開始せよ
「征くぞ 諸君」
---マリア・クゥー中佐著 ラーメン全史第一巻 「0083デラーズフリート」 序説第三章より抜粋
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ぽち
っとお願いしま~す(=゜ω゜)ノあ!にゃー