バックパック一つに、中途半端に焼けた肌と、中途半端に伸びた口髭を生やした日本人ひとり。

空港を出るとすぐに何台ものタクシーとその運転手たちがたむろしている。

出来るだけ関わらないように足早に彼等の前を通り過ぎる。

ちらりちらりとこちらを見る彼等。

タイ人とは違う黒い肌、遠くを見つめているようなぎろりとした大きな眼、そして何より違和感を感じるのはその彫りの深い顔立ち。

真っ直ぐに通った高い鼻筋は、遠いヨーロッパにいるアーリア人を思い起こさせる。

同じアジアと言うにはあまりにも違いすぎる。きっと、感じ方も違うのだろう。

タクシー溜まりのすぐ横にエアポートバスが停まっていた。

エアポートバスと言っても、阪神高速を疾走しているような大きなバスでなくマイクロバスである。

車体の真ん中にある入口を昇り、誰も居ない車内でキュッと音を立てる古びたビニールシートに座ると何故か懐かしさを感じた。

本当にコンノートプレースまで行くのだろうか。行き先が分かるのは、車体前に貼られた番号表示のみ。不安な気持ちはあるものの、根拠のない大丈夫!と言う自信を持った自分にひとり笑ってしまった。

それから20分ほど経ってエンジンがかかると色褪せた小さなバスは小刻みに震え出し、数人の客と運転手、車掌を乗せて唸りを上げて空港前を出発した。

広がる茶色の大地と濃緑色の木々。焼けるような陽射しの下アスファルトは白く霞んで見える。

前と真ん中の乗降口の壊れた扉は車の揺れに合せてバッタンバタンと開閉を繰り返している。

車掌は暴れる真ん中の方の扉を手で押さえ閉めてかんぬきのような鍵をした。運転手横にある前の方で暴れている扉には一瞥もくれず軽く腰掛けたまま窓の外を眺めている。

空港を出て何度か角を曲がる度に交通量も増えひっきりなしにピーピーと安物くさいクラクションを鳴らし走り続けた。韓国、タイ、インドネシア・・・、アジア共通の運転マナー。でも、インドが一番うるさいのかも知れない。

数回バス停で停まり、その度に必死で場所の確認をする。

40分走った頃ようやくコンノートプレースらしき街に到着。

「コンノートプレース?」と車掌に大きな声で聞くと首を横に振り前の扉を指差した。「さっさと降りろ!」と言う感じで。

が、バスは停まらない。えっ!?と思いつつバックを手に持ち少しひるんでいると、別の客が走るバスから飛び降りていった。前に習え、と言うことか。意を決してバスから飛び降りるとそこはコンノートプレース外周通りのど真ん中であった。

先ずはAmexにてT/C200ドル両替。

インド初日はタイ同様に豪華なホテル(あくまでもバックパッカーを基準にした場合)に泊ることに決めていた。

ヨークホテルにチェックイン。1Fに高級っぽいレストランにてタンドリーチキン、トムヤムスープ、ナン、ビール、水を食す。330ルピー。


何故かこの時に取った写真は全部手ブレ。

ほかの3枚も全部手ブレ写真。緊張していたのかも・・・。


つづく