2025.10.02@Reykjavik 🇮🇸




こんな時には、やれ誇大広告がドウコウ、国際法何十何条がアダコダ、と法と正論を盾に彼らを詰問できない自分の無力さをすら恨んでしまう。


果ては、思い返して、高校2年生の進路選択時、「俺は文系へ行きたいんだ、おかあちゃん」と言った僕に「今の時代は理系やで」「アナタは理系の天才なのよ(超意訳)」と告げて、工学部へと進ませた母と担任さえ居なければ、俺は今頃国際弁護士となって、あのガイドを豚箱に叩き込んでいたかもしれない、というところにまで妄想は走る。



しかし、思えば、件のツアーのレビュースコアといえば、どれもこれも”最高”の一言であったのは何故か。”正しい時期を選びなさいヨ”くらい残す人間がいたって良さそうではないか。


そうとなれば、ヨシ、必ずやこの僕がファーストペンギンになって、後続の人間を救ってやるのだ、と己の良心と正義感に誓う。

ものの5分後、しかし、ツアー会社のホームページまで辿り着いて僕の指は止まる。


いや、待てよ。

なぜ俺たちだけが35,000円をドブに捨てなければならないのだ。

何をどう足掻いたって、あのお金はもう戻ってこないのであれば、他の人間も同様に苦しんで然るべきではなかろうか。


そう思い直した僕は、そっとケータイを閉じることに決める。

明日も明後日も、明々後日も、まだまだこの先数ヶ月間はかの、なんやこれフェスティバルの犠牲者が増え続けるだろう。

そして、それを思った時、僕はどこか少し救われたような気になっている。

きっと先人たちも同じことを思ったに違いない。


こうして、あのホームページには今も尚、”最高”の一言だけが並んでいるということになっている。