2025.08.28@Choum🇲🇷
僕の偏見に塗れた独りよがりな分析によれば、イスラム教徒は夜行性である場合が多い。
イスラム教国家というのは大抵の場合が日中は家でダラダラする他無い猛暑の砂漠地帯に位置するからとか(僕が半年ほど駐在していたクウェートという国も夏の間は日中の労働が法律で禁じられていた)、イスラム教の象徴たる月は闇夜にこそ美しく輝くからとか、もっともらしい説明を与えることもあるいは可能かもしれないが、ここではそんなことよりも物語を先に進めることを優先されたい。(なにせいつの間にやら、毎日更新を謳っていたはずのこのブログは、今や3ヶ月遅れの更新となってしまっているからだ。)
僕がChoum(シューム)の町へ辿り着いたのは、Nouakchott(ヌアクショット)を発ってから実に17時間が経過した深夜1時だった。
西サハラ共和国との国境沿いに位置する人口2,000人程の小さな町。
四方をサハラに囲まれ、水を見たくば西へ500km、大西洋を目指す他ない砂漠の集落。
乗り合いバンから降ろされるなり、こんなところにホテルやゲストハウスといった低俗なものなぞ存在する訳もないと悟った僕は、民家の軒先に無造作に敷かれたゴザを目ざとく見つけると、こんな時間にせっせと茶会に勤しむ若者たちに「ここで寝てもいい?」と尋ねる。
すると彼らは
「もちろん、お好きにどうぞ」と笑顔で返しては、僕にお得意のモーリタニアンティーを振舞い、更にはこれも使っていいよと枕を投げて寄越した。
「どうもありがとう」と礼を告げながら、僕はバックパックを足元に放り投げると、受け取ったばかりの砂埃まみれの枕に頭を沈めて、早くも深い眠りにつくのだった。
もう一つ、僕の偏見に塗れた分析によれば、イスラム教徒というのは、世界でも最も親切かつ安全な人々である。





