ウィニー開発者、逆転無罪
10月8日大阪高裁で出された判決である。
ファイル交換ソフト「ウィニー」の開発が著作権法違反幇助罪に
当たるが否かが争われていたもので、一審の京都地裁判決を
覆し無罪との結論を出したものである。
ソフトの利用者が著作物を違法にコピーするとの認識があった場合
にソフト開発者を罪に問えるとした一審の判断には余りにも広範に
犯意を広げすぎているという点から、幇助罪に問える範囲を限定的
であるという基準を示したものである。
専ら犯罪のために使用されることを意図して提供されたことが証明
されない以上妥当な結論であろう。
不特定多数の利用者のうちに違法行為者がでる可能性がある場合に
その可能性を認識していたとしても、積極的に違法行為を助長する
働きかけがなされない限り、幇助を認定することは困難である。
あまりに広く幇助罪の成立を認めれば、コンピュータソフトに限らず
新しい技術の開発を阻害するおそれが生ずることになる。
違法使用のケースの多寡をもって開発自体を有罪とするのは、
開発に対する萎縮のみならず、有益な技術開発を遅らせるのである。
包丁が殺傷事件の凶器として使用されることがあったとしても、
包丁の製作者を殺人等の幇助として逮捕、起訴することなど、
ありえないのである。