衆議院議員選挙終了
衆議院議員選挙が民主党の圧勝で終了した。
ここで、一票の格差について考えてみたい。
今回の選挙での格差は、後日明らかになると思われるが、
平成20年の選挙人名簿登録者数などをもとに計算してみる。
比較の対象とするのは千葉県第4区と高知県第3区である。
千葉4区 選挙人数 483,702人
高知3区 選挙人数 214,484人
一票の格差は 2.255となる。
過去の衆議院選については、憲法違反の訴えが起こされ、
最高裁が判決を出している。その推移を見てみよう。
1983年(昭和58年)12月18日投票 格差 4.40 違憲
1990年(平成 2年) 2月18日投票 3.18 違憲状態
1993年(平成 5年) 7月18日投票 2.82 合憲
1996年(平成 8年)10月20日投票 2.309 合憲
2005年(平成17年) 9月11日投票 2.171 合憲
この流れからすれば、もし今回の選挙について一票の格差を憲法違反
として提訴しても、2.255倍の格差では合憲の結論すがでるものと予想
される。21年の数字ではないが、それほど大きく変わることは考えられない。
もし、提訴するとすれば、原告は今回苦杯をなめた自民党ということに
なるのかも知れないが、まさか自民党が提訴するとは思えない。
自らが衆議院の大多数を占めている状況で、一票の格差是正のための
方法を主導できる立場にありながら、これをして来なかったのであるから、
負けたから文句をいうのは児戯に等しいからである。
国会議員が国のために働くのを前提とするだけではなく、地方のために働く
地方代表としての側面を色濃く残しているのは、3割自治といわれる地方と
国との税収格差などにより、地方は国に頼らなければならない地方自治の
形骸化にもよっている。
地方分権の進捗と国政選挙の区割り変更、定数改定は密接に関係しているの
である。
いずれにしろ、今回の選挙についての定数議論、格差議論は棚上げとなろう。
ちなみに参議院の格差の違憲合憲の境目は6倍前後である。