やさしい裁判講座……裁判官の独立 | 橘 白扇 のひとりごと

やさしい裁判講座……裁判官の独立

今回のテーマは裁判制度の根幹を為す、裁判官の独立にしました。



憲法で三権分立が規定されています。司法権は、立法、行政とは独立、分立


しています。但し、司法権のトップに位置する最高裁判所の判事の任命権は


内閣に在ります。そして、裁判は立法府の制定する法律にしたがって具体的、


個別の事例につき法的判断をする事となります。




裁判は原則として、三審制が取られています。この三審制を担保するものとして、


裁判官の独立が保証されています。裁判官は独立して、事件を法律にしたがって


判断することになります。




その際、他の裁判官の指示にしたがって解釈を変更することはありません。




裁判は、具体的な公訴提起を前提に、その事例についての事実認定を行ないます。



刑事裁判に限定すれば、犯罪の事実を認定し、刑罰の重さ、つまり量刑を、検察官


の求めた罰条を基に決定します。



裁判官の独立のゆえに、同様の事件でも、判断が異なることが、制度として予定


されています。




それゆえ、判決に不服、疑問があれば、上級審への上訴が認められることに


なります。




地方裁判所の判断に対しては、高等裁判所に控訴します。



第二審たる控訴審までは、事実調べを行なう事が出来ます。一審の地方裁判所の


事実認定と異なる結論が出されることも、制度として保証されているのです。




これに対して、第三審たる最高裁判所は、原則として事実認定を行ないません。


最高裁判所への上告理由には、憲法違反、判例違反の主張が必要とされます。


単なる事実誤認は上告理由なしとして、いわゆる門前払いの決定が為されます。


史実審ではなく、形式審が原則です。




これらの、制度の前提として、裁判官が個別に自己の法律知識、世間の常識を


十分に蓄えているという事が必要とされています。




法律家としての知識を必要としない、裁判員制度のもとでは、第二審たる高等裁判所


の判断の重要性が一段と増加することになりそうです。


一審、地方裁判所の判決がそのまま確定する事案の減少が予測されます。


迅速な裁判という目標は、第一審のみの課題で無いとすれば、手放しで目標達成


とは言えないようです。