小沢一郎のどこが悪い。西松建設問題続編。
政治論か法律論かで紹介した毎日新聞専門編集委員の金子秀敏氏が
4月2日夕刊のコラム【早い話が】で「小沢一郎のどこが悪い」のタイトルで
西松建設の小沢一郎に対する献金を巡って書いている。
必ずしも毎日新聞購読者ばかりでは無いはずなので、少し紹介し、その後
論評を付け加えようと思う。
金子氏の文章を引用する。
世論調査をすると「小沢代表の説明に納得がいかない」という意見が圧倒的に
多い。同感だ。だが、説明を求める相手は、まず西松建設ではないのか。
西松建設は、多額の「裏金」をダミーの政治団体を通じて、小沢代表の資金
管理団体「陸山会」に合法的な「表金」として献金した。西松建設内部で
行なわれた資金洗浄だが、受け取った小沢代表の公設秘書も政治資金
規制法違反に問われた。……
…西松建設は、なにが目的で陸山会に多額の献金をしたのか……
公共事業の受注に便宜を図ってもらおうとしたのか。入札で天の声をだして
もらったのか。もしそうであるなら、野党の国会議員でも公共事業の入札に
関与できる仕組みがあることになる。
もしそのような仕組みがあるなら、秘書は、あっせん利得処罰法違反や
収賄罪に問われなければならない。そのような仕組みがないとすれば、
小沢代表にはこれ以上説明のしようがない。
小沢代表は、陸山会の献金処理が適切に行なわれたかどうかについては
説明をしている。しかし、西松建設がなにを期待したのかまで説明する筋合い
ではない。……
……この事件では、姿の見えない「関係者の話」 「西松建設関係者の話」
がメディアにさかんに流れている。……
……与党もメディアも小沢たたきには熱心でも、政治浄化には不思議と
腰が引けている。
小沢一郎の秘書は、政治資金規正法違反の容疑で逮捕されたが、贈収賄事件、
あっせん利得処罰法違反の容疑で逮捕されたわけでは無い。
贈収賄でいえば、小沢一郎には職務権限があったことを証明できるはずはなく、
贈賄側として立件できるかが問われようが、証明は冨可能であろう。
西松建設内部の資金移動は、すぐれて西松建設の問題であって、政治家
をそのゆえに政治資金規正法違反で逮捕、起訴することは無理であって、
検察にとって汚点となる可能性がある。
政治献金を打診された政治家側は、広く浅く献金してもらえるよう要望する
ことは、むしろ自然な姿では無いのか。各業界、企業グループが政治団体を
結成するのは、寄付金の限度額も当然検討されてのことと考えるのが自然
であろう。
巧妙に政治献金を受け取る方法としてパーティが利用され、あまり問題とされ
ていないようだが、こちらの方が不自然では無いのか。
通常、政治家が開くパーティ以外で会費制の場合は、事前には出欠の確認
のみで、会費の支払いは当日パーティ会場で行なわれるのが普通であろう。
パーティで多額の収益があがるのは、出席しない人に売ったパーティ券の
多さによるのである。これはパーティ参加者が個人であることを隠れ蓑とする
企業献金にほかなるまい。これをなぜマスコミは問題視しないのか、不思議
ではある。
金子氏が折角メディアに警鐘を鳴らされても、氏の属する毎日新聞全般に
その声が広がっていない感じがする。まして、西松建設を巡っては二階俊博
経済産業相との関係について小沢一郎のときと同様の報道を繰り返しては
いないだろうか。