議会制民主主義について考える | 橘 白扇 のひとりごと

議会制民主主義について考える

小泉純一郎元首相の定額給付金財源特例法案に対する意見表明につき、

自民党幹部は当初、衆議院での議決に賛成したのだから、再度の議決で

反対もしくは棄権、欠席するのはおかしいと述べていたが、この言葉は

議会制民主主義を根本から否定する暴言である。


衆議院で可決しても参議院で、別の観点からさらなる質疑応答を重ね、

修正が加えられることは、本来憲法が予定しているものであろう。

荘でなければ二院制をとる根拠がなくなるものである。


衆議院で見落されていた問題点、不都合を参議院で議論し、その結果参議院で

否決され衆議院で再度議論される場合には、最初の衆議院の議論だけでは

なく参議院での議論の結果や、その際の論点の再検討を行ない、あらためて

議決するのが本来の役割である。


当初の議決と異なる議決になることは何ら問題となるものではなかろう。


したがって、最初の議決に賛成したから必ず再度の議決でも賛成しなければ

ならないとするのは、二院制の機能を否定し、憲法の趣旨を否定するものに

ほかならない。


最初の議決で2/3を超える多数によって可決されれば、どうせ参議院で

否決されても、再度衆議院で可決できるからといって参議院に議案を

送らなくてもという論理すら成り立つ危険きわまりない暴言なのである。


衆議院、参議院ともにその任期中に成立した法案であっても、施行後に

欠陥が発見され、あるいはより良い方法が見つかれば、たとえ任期中でも

法改正を行なうことは、議会が当然に果たすべき任務であろう。


これらをも、当初の議案に対する態度を徹底するというならば、議会の

役割とは一体何であろうか。


議会の自殺行為であり、議会制民主主義の否定である。


郵政民営化を決定した議会の構成は、いま現在、衆議院、参議院の

現役議員ではなかったのか。


自家撞着、實にその場しのぎの無定見な議員が幹部を占めている

自民党に明日はあるのであろうか。