公的資金による一般企業への資本注入
政府は、世界同時不況による一時的な業績不振で赤字に陥った
企業などを救済するため、公的資金を資本注入する方針だそうだ。
注入規模は最大で数兆円に達する可能性があるとのことである。
アメリカ、ヨーロッパも公的資金を活用した企業支援、再生を目指して
いるが、日本も同様の手段をとる事とするのであろう。
これは、裏返せばアメリカで自動車産業への資金拠出が世間の
批判を浴びたのと同様の批判に晒される事を意味していよう。
今回の第二次補正予算には、日本政策投資銀行を通じた1兆円の
低利融資枠が設定されている。新制度はこの融資枠を資本注入に
使うのだそうである。
しかし、融資と出資は明らかに異なるものであり、別途議論する余地
があろう。
対象企業は、経済産業省から産業活力再生特別法(産業再生法)に
基づく事業計画の認定を受けた企業とされる。
この制度により構造不況業種の徒な延命などを防ぎ、業種、企業
を選択することは、対象から漏れた企業、中小企業で働く労働者等
からの批判、非難にどう答えるかを含めて、極めて困難な作業となる
であろう。
対象とされた企業が破綻した場合の責任を含め、税金を投入するには
それなりの覚悟が必要だと思われるが、今の政府にその覚悟がある
とは思われない。制度を作ってあとは野となれ山となれと、政権を放り出す
姿が容易に想像される。
年金制度がその典型であろうが、のちの運用に責任をもてる制度設計
を望むばかりである。