一将巧なって万骨枯る
日経新聞によると上場3,788社の直近決算期の業績見通しでは
増収増益が 1,102社 (29%)
2桁増収増益が 184社 ( 5%)
だそうである。2桁増の184社が1,102社に含まれるのかどうかは
読み取れなかったが、含まれていても29%という数字は昨年来の
この不況下では優秀な業績であろう。
むろん他の71%が、増収減益なのか、減収増益なのか、あるいは
減収減益なのかは書かれていないため不明である。
しかい全面的な経済危機という印象からすれば、好業績といって
差し支えあるまい。
では、どうしてこんな好業績が得られたのであろうか。
具体的な社名や分野がわからないので、断定することはできないが、
近年の労働賃金の上昇の無さや、下請けの中小、零細企業の破綻を
照らし合わせて見ると、上場企業のみがわが世の春を謳歌している
だけではないのかと思えてくる。
下請け、従業員の犠牲のうえに成り立っているとすれば、実にあやいう
状況といえよう。
下請けに属するひとびと、自社の従業員等も企業の製品、サービスの
エンドユーザーであれば、その購買力が低下すれば、巡り巡って
企業の収益に反映する。
いくさであれば、敵を滅ぼせば、たとえ味方の将兵がどれほど死んでも
将軍の功績たりうるが、商業活動では、どうしても顧客の存在が必要
である。
ひとり勝ちの企業は、いずれ市場からおおきなシッペ返しを受ける恐れが
あることを肝に銘ずべきである。