未実現利益の排除
米国発の新たな従業員持ち株制度(日本版ESOP)なるものが採用され始め
ているらしい。
企業が保有する自社株を従業員に渡し、労働意欲の向上を図るのだそうである。
しかし、それだけが目的でないことは、明らかであろう。
株価の安定も目的であると考えるのが自然では無いか。
値上がり益が還元されるのは、従業員が持ち株会から株式を個人のものに移して
市場で売買して、はじめて現実のものとなるのであり、それ以前の段階では、
単なる評価上の利益、含み益にすぎず、現実的には絵に描いた餅、すなわち
未実現利益にすぎない。実際の売却時に株価が下落していれば、損失もありうる
のである。
含み益によって株価が乱高下したのは、バフル時代とその終焉で経験済みの事柄
である。
この新たな制度には、法律や会計面での課題も指摘されているようであるが、
羹に懲りて膾を吹くわけではないが、米国発というだけでも、眉に唾をつけてみた
ほうが良い様である。