新型インフルエンザの感染拡大防止の実験
国土交通省の国土交通政策所が、鉄道車内での感染防止の実証試験を実施
したらしい。地下鉄車両を使って、乗客同士で一定の間隔を保って乗車できるか
どうか、乗り降りに要する時間はどうかを検討した模様である。
ダイヤ編成のあり方などの対策に役立てるとしている。
公務員のお気楽ぶりがうかがわれる、なんとも悠長な実証ごっこと言わざるを
得ない。
一定の間隔を保つためには、改札口以前の段階から、改札口の通過間隔、
ホームでの待機間隔、降車のための、間隔を維持しての所要時間、ドア近辺
の間隔の保持、引き続いての乗車所要時間等のすべてが計測されるのであろうが、
民間企業に勤務するサラリーマン、通学の学生がきちんと間隔を保持して乗車、
降車するという保証、見込みがあるだろうか。
最近の首都圏の朝の通勤、通学時間の電車、バス、地下鉄の混雑具合を
いささかも考慮していない対策が有効であるはずは無い。
混雑を原因とする遅延は日常茶飯事であり、乗車規制さえ行なわれている。
運転本数も、限界に達しており、ゆとりある運行は夢物語であり、たとえ新型
インフルエンザ防止のためといっても、通勤、通学を急ぐ必要がある限り
間隔を開けての利用は不可能と言わざるを得ない。
民間企業、学校等の協力をどうやって獲得するかを、まず考える必要がある。
勤務時間により収入が左右される職業が多く存在している場合に、収入の減少
をもたらすことを、どう回避するのか、あるいは減少額を補填するのか否か。
職員のみを参加者とする実験が、はたして有効な結果かどうか、考慮すべき
でもある。
こんな、実にくだらない実証試験を実施するのに要する費用はいったいどれほど
であろうか。実際の場面で、有効に実施できる方法をまず机上で充分練ってから
ならともかく、これは単なる思い付きとでも呼ぶべきレベルであり、税金を投入
する必要のある実験ではあるまい。
税金の無駄使いは、いいかげんに止めよう。