非常の時には、非常の策を
2009年度予算の財務省原案が提出され、景気刺激策が採用された結果
財政規律が緩んだと、批判的な報道がされている。
経済危機に対して景気対策が必要なのは、論をまた無い。
しかしながら、解散、総選挙の対策を緊急性の高い景気待策のなかに、
紛れ込まそうとする与党の態度は、看過できないものである。
非常の時には非常の対策がとられるべきであるが、それを奇貨として自己
の保身を図る如きは、政治家のとるべき態度では無い。
臨機応変に雇用対策が必要なのは明らかで有り、与党は、第二次補正予算
の中に雇用対策を盛り込んでいるから、野党の法案に反対と言うのは、
第二次補正予算の提出の日程すら明らかにされていない段階で、首肯できる
話しでは無い。年を越せるかどうかの瀬戸際だという、失業者、失業予備群を
一刻もはやく救済しようと、具体的な動きを見せている自治体と比較するまでも
なく、国の動きの悪さが際立っている。
非常の策には、当然非常の資金が必要であり、そのための出費、国債発行等
は事実上必要であろう。
しかし、財政規律の緩みが懸念される理由は、いちど緩んだ規律をふたたび
引き締める政策が、確実に実行される保証のないことにある。
過去に、緊急の対策のためとして制定された時限立法、暫定税率、特別措置法
等が、当初の目的を達成したのちも、目的を狭義から広義へと広げて存続させ
ついには、名称は暫定税率が恒久化されている現実は、ガソリン税、道路特別会計
の、今年話題となった例で明らかなように、国民の信頼を得られないものである。
目的を詳細に設定し、その有効期間を限定し、機関満了かそれ以前に確実に廃止
される暫定、緊急措置、緊急立法が必要なのである。
制度を創設した内閣と、存続をはかる内閣が異なるからとして、平然と国民を
だましつづけることは、そろそろ限界である。
どういった策がいつ必要で、どうなったときに必要でなくなるのかの条件を
精査、開示しそのタイムテーブルを公開する必要がある。
既得権益化が道路特定財源のような形で行なわれることが、信頼を損ねている
にも拘わらず、このたびの予算でも、公共事業としいの道路財源が多額に及ぶ
現状は、国民の納得を得るには程遠い。
政策の一貫性を保持する責任が政党にはある。