大山鳴動して鼠一匹
元厚生省事務次官宅を襲った容疑者が警察に出頭した。
政府関係者、マスコミは「年金テロ」と呼び、いわゆる識者
の中には「行政テロ」などという造語まで持ち出す手合い
までいる始末であった。
テロという言葉は世界的に使用されており、標準的な定義
が存在するというべきものである。わが国ではいろいろな
造語が作られており、国内だけで使用されるぶんには、
何の問題もないが、諸外国が使用するテロと余りに乖離
した意味のことばを、政府関係者、マスコミが使用すること
には、なんだか違和感を覚える。
むしろ、「年金テロ」というなら、自らの共済年金のみを
厳密、正確に管理し、一般国民の国民年金、厚生年金を
いいかげんに処理し、あまつさえ、いわば恫喝により、
その支給額をいいかげんにしてきた社会保険庁の行為
こそ「年金テロ」と名づけるにふさわしいともいえる。
組織的暴力をこそテロと呼ぶならば、有形的な暴力のみ
ならず、無言の圧力、指導も、その立場の弱い人間に
とっては暴力以外の何物でもあるまい。
それにしても、官僚の住所録が市販されていたのはいったい
なんのためであろうか。会社でも、学校でも名簿はその内部
の人間にしか用のないものであり、悪意を持つ人間以外
に広く頒布されることは考えられない。
役人の名簿を入手したい人間は、今回の事件のような
使用方法を想定して出版されたとは考えにくく、ではその使徒は
とかんがえると結構意味深長なものがありそうである。