精神鑑定の不思議 | 橘 白扇 のひとりごと

精神鑑定の不思議

最近の刑事事件では多くの場合、精神鑑定が行われている。

そして、いくつかの事例で鑑定人による鑑定結果に齟齬が見られる。

いったい精神鑑定は具体的にどのような手法でおこなわれているのだろうか。


精神鑑定の対象となるのは、鑑定の対象者の犯行時であり、その時点での

責任能力の有無である。つまり、自分の行為が犯罪であることを理解、認識

できているかどうか、責任能力の有無を対象とするものである。


精神鑑定は当然ながら事件の時から、時が経過してから行なわれる。

犯行時を推定するしか方法は無いのである。罪科を逃れるため偽装を考慮

して正しい鑑定を出す事は、容易でないことだけは理解出来る。


 しかし、精神鑑定は具体的にはどのような方法で行なわれているので

あろうか。

      記録の照合

      面接

      家族面接

     心理テスト

     脳の医学的検査

などといわれているようだが、どうも具体的にイメージすることは難しい。

 生育歴、学校での記録、精神科等への通院、入院歴を調べ、本人に面接

し、家族にも面接する。各種の心理テストを行ない、医学的な検査を実施する。

 確かに一見すると、ちゃんとした鑑定のようであるが、専門家が行なう鑑定

の結果が異なる事をこの技法から説明することは困難ではないか。


 精神鑑定をどこまで信頼してよいのか、私には判らない。

精神科上の病名と犯罪との親和性についても大いに疑義がある。

いたずらに精神鑑定が乱発されることにより、犯罪とは無縁な精神科の患者

全般に向けられる世間の白眼視をどう防ぐのか、おおいに検討すべきテーマ

だと考える。



 法廷で鑑定人が何を話し、職業裁判官はどう判断しているのだろう。


 裁判員制度により参加する、法律、精神医学に無縁な裁判員は何を基準

に判断することになるのであろうか。