先日、誰もいない海沿いの道を二時間ほど歩いた。人っ子一人いなかったので、マスクを外して歩いてみた。すると次第に、喉が痛くなってきたのである。この痛みは、マスクをしたら治った。思えば、マスクを外して歩くなんてコロナ・パニック以来だった。

嫌な予感がしている。それは、コロナではない。あれは、夏になったら治る。冬になったら、また流行る。もうパターンはわかった。だが怖いのは、新しい自己免疫疾患だ。

 自己免疫疾患、あるいは免疫病のことだ。医者は、免疫の異常では?とか言っているが、本当のことはわかっていない。はっきりしているのは、20世紀後半頃から、主に先進国で増加していることだ。花粉症も、この病気の一種と言われている。

西郷隆盛は、リンパ系フィラリア症と呼ばれる寄生虫病にかかっていた。私は、この病気を治療してきた医者の本を読んだことがある。この寄生虫にかかると、下半身の一部が異常に肥大する。西郷隆盛の場合は、睾丸だった。それは大きく腫れ、彼は馬に乗れなかった。また睾丸を、いつも袋で吊っていたそうだ。

 幸いなことに、この病気は根絶寸前だそうである。だがこの医師は、あることに気がついた。この寄生虫は、アトピーの発症を抑制するそうななのだ。

 もちろん、こんな病気にはかかりたくない。だが私たちは、寄生虫はもちろん細菌、ウイルスに至るまで、あらゆる病気を根絶しようとしている。さらにコロナの流行により、私たちは自分の周囲を徹底的に消毒している。無菌状態を目指して、四苦八苦している。

 実は、私たちの周囲は細菌、ウイルスだらけである。床はもちろん、テーブルの上も皿もコップも空気中も、顕微鏡で見たら多種多様、奇々怪界な生物、ウイルス(DNA、RNAの千切れた一部)が見られる。清潔好きな方は、一生見ないほうがいい。

だが私たちは、そんなに消毒しなくとも良い。どんな強者が体内に侵入しても、私たちの免疫システムが、片っ端から根絶してくれるからだ。

 私たちの免疫システムは、実に優れている。敵(病気の源)を見つけたら、まず食べてしまう。あるいは、敵に感染した細胞に自殺を命じる(アポトーシス)。未知の敵(コロナなど)に対しては、免疫細胞が遺伝子組換えをして対応する。だから、コロナ感染者に無症状者が多いのである。しかも、一度戦った敵のことは、絶対に忘れない(→ワクチンは、この機能を利用している)。

ちなみにこの免疫システムは、ガン細胞も始末する。私たちの身体は、毎日ガン細胞が生まれていることが分かっている。ガンは日常的なことであり、しかも治癒率は99.9999・・・%なのである。

 さて、この最強にして完全無欠の免疫システムが、私たち自身を攻撃するようになった。最初にお話しした通り、原因はよくわかっていない。だが私は、医者たちの「免疫システムの異常」という説明に納得しない。その理由は、むしろ私たちがあらゆる病気に勝利しつつあるからだ。周囲を無菌状態にした結果、免疫システムが正常な細胞をいじめているのだ。

私は普段、ニュースも新聞も見ない。バカバカしいからだ。だから世界が、コロナ後の「無菌による自己免疫疾患」を心配しているのか知らない。だが頭のいい人ならば、それくらい気がついてほしいと思う。

 一番怖いのは、赤ちゃんだ。赤ちゃんは、生まれた後にありとあらゆる病気にかかる。もちろんワクチンも打つだろう。だが何よりも、環境世界に存在するあらゆる敵(病気の源)を自分で体内に取り込むことが大事だ。自分の免疫システムで戦う。これがベストである。自分自身で、病気対処のデータベースを作るのだ。

 現在生きている赤ちゃんは、この環境世界との戦いを経験できない。これは、恐ろしいことだ。ケンカの仕方を学べずに、弱肉強食の世界に旅立たなくてはならない。

 そこまで大袈裟でなくとも、数年後に子供たちの間で新しい免疫疾患が発生するかもしれない。ありとあらゆる食べ物にアレルギーを持ち、食事は錠剤ばかりになるとか。自分の腕や足や、脳まで攻撃する免疫疾患が見つかるとか。

 私は、過去に戻るつもりはない。アレルギーが怖いからといって、西郷隆盛と同じ病気にかかりたくはない。だが、現在の全て消毒、殺菌する世界は異常だよ?人類史上、初めての経験をしているんだよ?体内にどんな影響があるか、やって見なくちゃわからないんだよ?

 考え過ぎで終われば、いいと思う。でももし、「自分は頭がいい」と自惚れる人間なら、こんな簡単なことぐらいチェックしてくれ。後になって、「自分のせいではない。誰のせいにしようか?」と頭を絞るような真似はしないでくれ。と、思う。